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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第三十話「受け継がれる遺志と剣」
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食事も終わり、夜も更けたと言う事でこれからの事は明日話し合おうと村人達は其々自分達の家へと帰っていった。
村の見た目から以前住んでいた家も壊されていると思ったリュカは旅の間と同じ様に馬車で寝ようとしたがスラリンとピエールが着いて来てと言うので後に続くと其処にあった建物を見て驚愕する。

「こ、これは…親父達と暮らしていた家。…何故?」
「何時か帰って来るリュカの為に村の皆と協力して建て直したんだ」

そう、其処にあったのはラインハットに行くまで自分達が暮らしていた家が以前の姿のまま其処にあった。

兵士に擬態した魔物達が攻めて来た時にこの家もまた打ち壊されたがピエールが目覚めた後、未来への希望を取り戻した村人達と一緒に少しづつ直し、つい数日前に完成したばかりなのだ。
その姿を見て嘗ての幸せな日々を思い出したのか、リュカは声を殺して泣き出し、ヘンリーはその肩を抱いてやる。

「まったく、自分達の家だって粗末なままなのにな」
「うん……」

そして改めて見直すと家の横には無かった筈の咲き誇っている桜の木がある事に気付く。

「あれ?この木は…前には無かった筈」
「それに春はもう過ぎてるっていうのに何故桜の花が咲いたままなんだ?」
「それはベラから貰った《桜の一枝》だよ」
「ベラがくれたあの?」

妖精界から帰って来た時に握っていた桜の一枝、その枝には紙が括り付けてあって『この花を見て私達の事を思い出してね。《ベラ》』と書かれていた。
その後、部屋の花瓶に飾ってもらったのだが、不思議とその花は枯れる様子を見せず、ラインハットに行く際もサンチョに世話を頼んでいたのだった。

家が打ち壊された時に部屋に飾ってあった桜の一枝は地面に転がり落ち、そのまま根付いてこの大樹に成長したらしい。
また、それだけでは無くこの木を中心に汚された地面や川の水なども徐々に浄化されていっているらしく、何れは元の綺麗な大地に戻る事を期待されているとの事だ。

「そっか、村人達だけじゃなくこの村の大地も頑張ってるんだな」
「うん!きっと何時か元の自然豊かな村に戻るよ」
「その為にも邪悪なる者共を倒さねば」

そう語り合うリュカ、スラリン、ピエールの三人をヘンリー達は少し離れた場所から眺めている。
何処と無く、何かを邪魔する感じがして彼等の中に入れないでいたのだ。
それはシーザーも同じらしく、少し悔しそうにブラウンの頭の上で「クオォ〜ン」と悔しそうに唸っていた。



―◇◆◇―

一夜明け、軽い朝食を済ませたリュカは子供の頃には知らずに居たパパスの事を詳しく聞く為に長老の住む家へと向かった。

「パパス殿の事か…」
「うん、親父が死に際に母さんが生きている事を教えてくれた。それにオクラルベリーでの占いで此処
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