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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
最終話 本日天気晴朗ナレドモ波高シ
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はしゃくりあげた。
「夢で見たわ。最後のお別れをしてくれた。そして、武蔵さんと飛龍さんも・・・・皆綾波さんのところに行ってしまった。」
左腕を動かそうとした紀伊はその感覚が全く残っていないのに、気が付いたが、特に驚かなかった。様々な記憶が一時によみがえってきた。腕の骨が砕けるほどの負傷をしたこと、最後に尾張と讃岐が敵深海棲艦に突っ込んで自爆したこと等――。
「その腕・・・・。」
「大事ないわ。自分の身体だから、自分でわかる。それよりも、讃岐・・・・。」
紀伊は右腕を差し伸べた。
「あなたも休んだ方がいいわ。私はこの通り大丈夫だから・・・・。」
不意に体が激しく震えてきた。
「だ、大丈夫だから・・・・あ、あなたも・・・・・。」
喉も震えて、つんと痛くなって、なぜかその後は言葉にならなかった。代わりに出てきたのは、嗚咽だった。
「姉様・・・姉様アアアアッ!!」
讃岐はわあっと紀伊の胸に飛び込んできてわんわん泣いた。それを抱きしめながら紀伊も泣いていた。引き絞るような声で、紀伊は初めて思いっきり泣いていた。


* * * * *
戦いは終わった――。

多くの犠牲を出し、傷ついた者を出して、太平洋上における一つの戦いは終わったのである。

艦隊はひとまずハワイに急行し、そこで傷ついた者をメディカル施設に移送させた。

武蔵、尾張、近江、飛龍・・・・・。
尊い犠牲を払ったミッドウェー本島攻略作戦は幕を閉じた。

 ミッドウェー本島の攻略成功、ノース・ステイトとの通信回復の達成、そして武蔵、尾張、近江、飛龍の戦死の報告は委細漏らさず横須賀鎮守府の梨羽 葵のもとに届けられた。
「・・・・・・!!」
覚悟していたとはいえ、相次いだ艦娘たちの戦死に、葵は崩れ落ちそうになった。
「駄目!!」
抜けそうになる膝の力を懸命に取り戻そうと自室の書棚に寄り掛かりながら、葵は自分を叱咤した。ぶつかった衝撃で何冊かの本が床に落ちていた。
「私なんかよりも、ずっと悲しんでいる子たちがいるんだから!!」
葵はしゃがみ込み、本を拾おうとした。
「・・・・・・。」
ふと、一冊の本に目が留まった。アルバムだった。開いてみると、そこには戦いのさなかではあっても、数々の食事会、お花見、ピクニック、お祭り等の思い出がたくさん詰まっている。

 そして――。

最後の頁に全艦隊の集合写真があった。出撃の前日に取った物である。嫌がる尾張を紀伊たちが無理やり引っ張って映し出したものだ。そのせいか、尾張が横を向いてふてくされた顔をしているのが、真っ先に目に留まった。
「最後まで紀伊に手を焼かせて・・・死んでからもお姉ちゃんの手を焼かせ続けるなんて・・・・。」
涙がひとしずく、写真の上に落ちて、乾いた音を立てた。
「本当に困った子よ、
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