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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
171部分:三頭の竜その四
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・・・・これ以上の戦いは無理だな。我々の敗北だ」
「・・・・・・・・・」
 騎士は何も言わなかった。否、言えなかった。アリオーンが次に何をするか彼にはよくわかっていた。そしてそれを止める事が出来ない事も。
「皆今までご苦労だった。私のような愚かな者に仕えてくれて真に感謝している。・・・・・・後はそなた達の好きにするがいい」
 そう言うと腰から剣を抜き首に当てた。一気に掻き切ろうとしたその時だった。
 アリオーンの目の前に淡い緑の光が生じた。そしてその中から一人の壮年の男が現われた。
 長く紅い髪とルビーの如き瞳を持っている引き締まった長身を黒と金の軍服、そして司祭達が身に着けるようなトーガに似た形のマントを着ている。やつれた感じはするが端正な顔立ちと全身から発せられる気品と威厳、アリオーンは彼をよく知っていた。
「アルヴィス皇帝、何故ここに・・・・・・」
アルヴィスはアリオーンの問いに答えた。
「卿のことが気になってな。来てみれば自害しようとしているとは。間に合って良かった」
「・・・・・・・・・」
「卿はまだ死んではならぬ。その力、ユグドラルの為に役立てるのはこれからなのだ」
「・・・・・・・・・」
「私と共に来るのだ。そしてダインの志を正しき場所に導くのだ」
 アリオーンにはそれがどういうことなのかわからなかった。だがアルヴィスが自分を利用するつもりではないこともよく
わかっていた。
「はい・・・・・・」
 そのうえで頷いた。アルヴィスが僅かに唇の端を綻ばせたように見えた。
「ならば来るが良い。そして星々の中に卿も入るのだ」
 そう言うと右手をゆっくりと上げた。アリオーンだけでなくトラキア軍全てが緑の光の中へ消えていった。
 明朝解放軍はトラキア城へ進軍をはじめた。途中アルヴィスがアリオーンと彼の軍を何処かへ連れ去ったという報がセリス達にも入った。その報にセリス達、とりわけアルテナは顔を暗くした。だが解放軍の進軍は順調でありセリス達は何事もなくトラキア城に入城した。歓呼の声こそ少なかったがこれでトラキアでの戦いが終わり、そして長きに渡ったレンスターとトラキアの抗争の歴史に終止符が打たれる時が来たのを彼等は感じていた。

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