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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
158部分:梟雄と呼ばれた男その五
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梟雄と呼ばれた男その五

「ならば・・・・・・!」
 リーフも剣を抜いた。両者は今度は剣を撃ち合った。
 トラバント王、リーフ共剣の腕も一流だった。銀の光が飛び交い金の星が飛び散る。だが決着の時は近付いていた。
 やはり傷の深さが仇となってきた。トラバント王の剣が僅かではあるが徐々に鈍ってきたのだ。リーフの剣が横に薙ぎ払われた。
 今度は胸を横一文字に鮮血が噴き出した。流石の王もガクリ、と倒れ込む。
 トラキアの将兵の顔が一斉に蒼ざめた。致命傷であることは誰の目からも明らかであった。
「これしきの傷・・・・・・」
 王はそれでも倒れない。口からは血が滲みだし顔から血の気が失せている。最早気力のみで闘っていた。
 ゆっくりとリーフとの間合いを取りながら上昇する。リーフはそれに対し一歩も動かない。これで最後になる、両者はそう考えていた。
 王がリーフめがけ急降下した。ほぼ同時にリーフも跳んだ。二つの影が交差した。
 リーフの馬が着地し王の竜が上昇した。両者は暫く時が止まったように動かなかった。
 王もリーフも互いに背を向けたままであった。王の左首の半分に紅い線が見えた。
 それは忽ち鮮血となり半月状に噴き出した。王の身体がゆっくりと崩れ落ちていく。
 背中から大地に落ちた。二、三回撥ねたがそのまま落ちた。周りが血の海とかしていく。
 最早リーフも両軍の将兵達もシアルフィの将達もその目には映らなかった。トラキアの蒼い空と夕暮れの紅い太陽、そして黒い大地が次々に浮かんでくる。
(さらば、トラキアよ・・・・・・)
 トラキアの民と兵士達、飛竜の姿が目に浮かんだ。
(栄光あれ、トラキアの民よ・・・・・・)
 今になってようやくわかった。自分を最後まで信じついてきてくれた者達がこれ程いたということに。
(どこまでわしは愚かな男だったのだろうな・・・・・・)
 邪竜と呼ばれ謀略と略奪、侵略、そして破壊と虐殺の中に生きてきた。民の幸福の為にやってきたことが多くの者の命を奪いトラキアを大陸の嫌悪の的にした。だがそれも幕を降ろすだろう。自らの死によって。
 息子の顔が浮かんできた。自分に似ず聡明で優しい心を持った若者に成長した。
(アリオーン・・・・・・)
 娘がいた。気が強く自分に反発ばかりしているが最後まで自分の娘だった。
(アルテナ・・・・・・)
 身体から力が抜けていくのがわかる。その時また二人の姿が浮かんできた。
(御前達二人がトラキアを、いや大陸を・・・・・・)
 天空から馬に乗り武装した乙女が舞い降りて来た。その乙女が微笑みかけてきた時目の前が白い光に包まれた。
「敵将トラバント、討ち取ったり!」
 リーフが右手に持った剣を高々と掲げると解放軍から地が割れんばかりの歓声が沸き起こった。
 ナンナが駆
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