暁 〜小説投稿サイト〜
『育児Diary』
『2008.9.8/妊娠発覚』

[2]次話


此の日は朝から体がダルく、生理も遅れてた。
バイト帰りに妊娠検査薬を買って帰った。
やっぱりデキてる。

素直に喜ぶことが出来ない。
理由はザックリ3つ。

まず、子宮が悪い。
流産や子宮外妊娠、堕胎手術数回などの経験があること。

次に、精神的なこと。
今は妊娠しない方が良い、母親に成りきれないと言われていた。
自分自身が赤ちゃん還りをしないと無理だと...。

精神的疾患は昔からあった。
PTSD、トラウマ、過呼吸...簡単に言えばそんなところ。
虐待やレイプを長年受け続ければ、誰でも精神的におかしくはなるだろう。
特別じゃ無い。
でも、其れが原因で、いつまでもフッ切れないのは情けない。

最後の理由としては、娘が居ること。
君のお姉ちゃんになる子。
お父さんは違う。
離婚した前の旦那さんとの娘。
今は前の旦那さんの家族と幸せに暮らしているだろう、きっと。

離婚当初は娘と暮らしてた。
けれど、胸を張って娘に言える職種では無かった。

『普通じゃないこと』『普通の家で生まれ育ってないこと』其れがどんなに厳しいことか。
現実を目の当たりにした。
悔しい想いばかりした。

それでも、守りたいものは、もう失いたくなかった。
守り抜きたかった。

だから...決断した。
娘を、私のように『母に振り回され続けたあげく、不幸に堕とされた娘』に、しない為...。

そう、娘1人手元に置いとけないようなロクでもない母親だった。
それなのに、そのくせに...
恨まれてるだろうと自覚してるのに...

新しい命を素直に喜べないのが本心だ...
君は何も悪くないのに。
素直に産みたいと思えない。
でも、罪の無い命を棄てるのはもう嫌だ...。

不安だったり複雑だったり、頭ん中がゴチャゴチャになる。
そもそも、既に子宮内で苦しんでるんじゃないかと考えて怖くなる。
正常な妊娠かどうか知るのが怖かった。
苦しめたいわけでも、死んで欲しいわけでも無いから...

そんなことを考えてるうちに君のお父さんが帰ってきた。
言わなければ...。
でも...どうやって?
ひとことではとても此の心の内は伝わらない。

けれど、とりあえず現状だけは伝えるべきだと思い、言葉無く、妊娠検査薬をそのまま見せた。
産めとも堕ろせとも言わず、ただ嬉しそうな表情をするだけだった。
でも、正常かどうかは解らないことを言うと、診察してから決めようということになった。



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