暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルユースの妖精王
小犬座の星霊
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目が覚めた。ゆるゆると瞼を上げ、寝たまま窓の外を見る。いい天気だ。
ふかふかのベッドの上、左側を向いていた体を仰向けに戻し、上半身を起こす。ぱさ、と体から落ちた掛け布団を退かして、ひんやりとした床に足を降ろした。寝ぼけ眼を軽くこすり、ちらりと壁掛け時計に目をやる。
まだ午前中。おはようと言うには少し遅く、こんにちはでは少し早いような時間だった。

「……寝すぎた…」

いつもはあと二時間は早く起きているのに、と溜め息を一つ。夜更かしをした訳でもないのに、今日はやけにぐっすり寝ていたようだ。ハコベ山に行った疲れがまだ取れていないのだろうか。

「…誰かいるか?」

日頃の癖で声をかける。時々呼ぶ側であるニアが呼んでもいないのに現れては、寝ている彼を叩き起こしたり周辺を警護していてくれたり、布団に入ってきたり、どこから調達してきたのかカメラで寝顔をばしゃばしゃ撮っていたりするのだが、今日は誰もいないらしい(撮られた写真は追及するのも面倒なのでそのままにさせておいた)。
前に聞いたところによると当番制らしいそれは、今日はお休みらしい。もしくは当番がベディなのだろう、と目星を付ける。彼が当番の時は代理(大体マーリン)が来るか、誰も来ない。ニアとしては別にベディが来ても(ちょっと苦手意識はあるけれど)大丈夫なのだが。

「ふむ…」

いつもならここで《まずは朝食を》だとか《とっとと着替えてこい》だとか《おはようございます我が君!!今日も素敵です!!!》とか何かしら言われるのだが、今日はそれがない。
一先ず着替えて、朝食を抜くと世話焼きな面々がうるさいのでしっかり食べ、それからの予定は後回しでいいだろう。まだ見ていない観光名所もいくつかあるし、そういえばマカオが「ロメオと遊んでやってくれ」と言っていたし―――――。

「……」

無邪気な笑顔を思い出した。ベッドに座り、俯く。
早く結論を出さなければ、と思う。明日明日と先延ばしにしてずるずる引き摺り続けるのは気分が悪い。かといって深く考えずに答えを出したくもない。
引っかかるあれこれを外して、何も考えずに正直に言ってもいいのなら、ニアはあのギルドに興味がある。雰囲気が懐かしくて、誰も彼もが明るくて、大勢でいるのも昔を思い出してなかなかに楽しい。一か所に落ち着く事に特に躊躇いもない。ただ、あちこち漂っている方が許されているような気がしているだけで。
あの場所にいた頃のように、きっとニアは言い訳を作るだろう。ロメオの無邪気さを、彼等の優しさを、きっと歓迎してくれるであろうルーシィの気持ちを、ただ自分がそこにいたいというだけの為に利用する。そうすると、断言出来てしまう。
唇を噛みしめ、右手で左腕を掴む。優しい彼等の事だから、こんな話をすれば頷くだろう。それでもいいと、言うのだ
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