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SNOW ROSE
乙女の章
X.Sonatina
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 シュカがこの教会へと連れてこれらる少し前の話しである。
 外の世界では雪降り頻る中、この森は変わることなく春の日和を感じさせていた。
「リーゼ、何故に悲しむのか…。」
 椅子に座る乙女に対し、そう言いったのはヴェルナー神父であった。
 リーゼと呼ばれた乙女は、前に座るヴェルナー神父を見ることもなく、囁くような細い声で答えた。
「分かっている筈です…。私たち乙女は、ここで死ぬために生きている…」
「違う!」
 リーゼの言葉に、ヴェルナー神父は声を荒げた。
「汝らは人々が神に執り成し頂くため、神聖なる者として神の御前に進み行くのだ。それは人としての死ではない。それは、神の御前に新しく生まれるということなのだ。」
 しかし、ヴェルナー神父の熱弁も空しく、それは虚空に消え去る音でしかなかった。
 相変わらずリーゼは俯いたままであったが、一言だけこう言った。
「詭弁だわ…。」
 そう言うや、リーゼは急に椅子から立ち上がり、戸惑うヴェルナー神父を無視してその場を駆け出したのであった。
 この教会に連れてこられる真の理由は、次の乙女が教会来る一月前に語られることになっている。
 語られる時は、もう住み慣れた教会ではなく、泉の対岸に建てられている小さな聖所へと移されているのである。
 これは他の乙女に真実を隠すという意味もあるが、嫌な物言いではあるのだが、逃げられぬ様監視しやすくするという意味もあった。
 だが、監視の目をすり抜け、日に何度も森の中へと行っていた。
 今まで、表面だけだとしても教義を否定する乙女などいなかったため、このような事態にはどう対処するかの規定は存在しなかった。それゆえ、監視も緩やかだったと言えようが、しかし、大問題であることには疑問の余地はない。
 こうやって抜け出してしまうのは、教義を信じられないと言うことでもあるのだから…。
 それをヴェルナー神父と、当時リーゼの教育係だったシスター・ハンナが連れ戻していたのは、もはや日課となっていた。
 そしてこの様な行為を戒めるべく、この日はリーゼを聖所へと連れ戻し、ヴェルナー神父が聖壇の前でリーゼに問っていたのであった。
「何ということか…。あってはならぬことだ…!」
 聖壇の前に残されていたヴェルナー神父は、一人悩んでいた。
 もし仮に、もう一人の乙女であるラノンに告げられでもしたら…。これは教会始まって以来の、最も最悪な結末を迎えるかも知れぬと、ヴェルナー神父は感じていた。
 長年続いた神への儀式を、ここで途絶えさせることになりかねないのである。
「ゲオルク神父に相談する他あるまい…。」
 苦悶の表情を浮かべ一人呟くと、ヴェルナー神父は直ちに教会へいるゲオルク神父の下へと急いだのであった。
 時同じくして聖所から飛び出したリーゼは、シスター・
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