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豹頭王異伝
邂逅
ベック公の帰還
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 古代機械に入室を拒否された<セカンド・マスター>、アルド・ナリスの前で。
 パロ聖王家の青い血を共有する従兄弟、聖騎士団を預かる実直な武人が瞳を開いた。
「ファーン、還って来てくれたのですね!
 貴方と再会が叶って、嬉しいですよ!!」
 グイン救出時には魔の胞子が脳細胞を冒し、反応を見せなかった聖騎士団の統率者。
 ベック公の顔が動き、驚愕の表情を浮かべる。

 信じ難い物を見た様に瞳を見開き、歓喜に顔を輝かせる従兄弟を凝視。
「ナリス、本当に貴方なのですか!
 信じられない、自分の足で立つ事も出来る様になったのか!?」
 自力で身を起こし、驚きの声を上げた直後。
 ファーンの誠実な瞳に、涙が溢れた。
 覚束ない足取りの従兄弟に駆け寄り、確りと支える。

「ナリス、本当に申し訳の無い事をしてしまった。
 弁解の余地は全く無い、何と言って謝れば良いか見当も付かない!
 私は何と愚かだったのだろう、貴方が言葉を尽くして引き止めてくれたのに。
 無謀にも黒魔道の術など怖れるに足りぬと見縊り、餌食となってしまった。
 《あれ》は断じて人間では無い、レムスの内身は全く別の邪悪な存在だ。
 突拍子も無い告発には一片の嘘偽りも無く、全て真実と理解した時には手遅れだった。
 私を真摯に案じてくれた貴方を信じずる事を拒み、真実を見抜けなかった罰。
 愚かな私に対する当然の報い、ヤーンの罰だと思う事しか出来なかった」

「親愛なるファーン、何も謝る事はありませんよ。
 魔道に詳しい者でなければ理解出来ぬ話を、性急に信じさせようとした私が誤っていたのです。
 何回も共に戦い従兄弟同士でありながら、充分な信頼関係を築いて来なかったのですから。
 元通りの貴方と再会を果たす願いが叶い、ヤーンに感謝しなければなりません」
 流暢に喋る策謀家の脳裏に、魔道師の遠隔心話が響いた。
 入念に精密探査を施したが異常は発見されず、闇色の瞳を満足気に細める。
 チェシャ猫の様に微笑う従兄弟と対照的に、素直な性格の武人は眩し気に瞳を瞬かせた。

「貴方は、強くなったね。
 今の貴方には以前には感じられなかった、穏やかな雰囲気を感じる。
 とても落ち着いていて、自分自身を信じているのだなと感じ取れるよ。
 今後は私が先頭に立って戦うから、貴方は身体を休めてください。
 本来であれば私が武の束ねであり、パロ大元帥として聖騎士団を率いて戦うのが当然だ。
 怪物に乗っ取られてしまった国王、レムスを追討する軍を起こさねばならないのだからね」

「御気持ちはとても嬉しいですよ、ベック。
 でも折角の御申し出に対して誠に心苦しいのだけれど、そうして頂くと都合が悪いのです。
 レムスを乗っ取ったキタイ勢力は、魔の胞子を取り除く方法は無
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