暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン65 鉄砲水と大蛇の深淵
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『マスター、何をやっているんだ?さっきから穴など掘って』
「色々あって僕のデュエルディスクは壊れちゃったから、ね。ユーノは持ってたみたいだけど、体ごと消えちゃうしさー。でもこの子もこれまで頑張ってくれたんだから、これぐらいはね」

 ただの物と言ってしまえばそれまでだ。だけどこのデュエルディスクは入学以来ずっと使ってきた、三幻魔とも光の結社とも共に戦い抜いてきた物なので、なくなってしまうと寂しい。あの覇王とのデュエルで僕がとどめを刺される寸前にデュエルディスクが壊れたのは、ディスクそのものが最後の最後に身を挺して僕を守ってくれた……なんて考えるのは、あまりにもメルヘンだろうか。
 でもそのおかげで、僕は今ここにいられる。機械には疎い僕でもあの実体化していたマリシャス・デビルの攻撃をまともに喰らったデュエルディスクがもう二度と動かないことはわかったので、ユーノの分と一緒にせめてものお礼として墓を作って埋めているのだ。

『……そうか』

 笑われるかと思ったけど、それ以上何も問われることはなかった。あるいは、何か察してくれたのかもしれない。そんな気遣いもできる、それがこの邪神だ。まったく、ありがたい仲間に囲まれたものだと思う。
 やがて全ての作業が終わり、最後に手を合わせて立ち上がる。もう、ここに来ることはないだろう。土まみれになったその手を洗うため、僕が覇王から逃げる際飛び込んだ川に向かう。飛び込んだ位置から比べるとだいぶ下流まで流されてきたらしく随分緩やかな流れになっていたが、逆に言うとそれだけの間ずっと水中にいてよく生きていられたものだと思う。

『……それなんだがな、マスター。実は、これは本当は教えるつもりはなかったのだが』
「なに、また隠し事?」

 手を洗い、ハンカチなんぞ持っていないのでふるふると振って水を飛ばしていると、いきなり話しかけられた。ダークシグナーの呪われた命のこと。チャクチャルさんの過去のこと。一切合財黙っていたことは、もう割り切ったし蒸し返すつもりもない。チャクチャルさんにしたって、別に悪意があったわけじゃないことは長い付き合いだからなんとなくわかる。ないが、まーだ何かあるとなれば話は別だ。意識せずともだいぶ剣呑な言い方になる僕にただでさえ歯切れの悪かった口調をますます言いにくそうなものにしながら、ぼそぼそと声が頭の中で聞こえる。

『まず、地縛神Uru(ウル)……蜘蛛の地上絵については知っているな?奴の能力が一番わかりやすいのだが、奴の手で蘇ったダークシグナーは小蜘蛛を人間に仕込むことでその行動、思考をコントロールできる』
「ああ、それで……」

 脳裏に蘇る、先代が夢で見せた古代ナスカの記憶。他の地縛神が直接人を襲っていたのに対し、蜘蛛の地縛神の足元では本体が見下ろす足元で人間が人間を襲
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