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平気な男
第五章

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「よく戻って来たな」
「絶対にやってるわよ」
「しそうな奴だし」
「というかしない筈ないし」
「また何をするかわからないぞ」
「近寄ったらセクハラ、パワハラ受けそうだし」
「もう無視しよう」
 こうしたことを言ってだった、誰もが彼を無視する様になった。
 しかしジョンソンはそれでも平気だった、平然とした顔で職場に出て取引先にも顔を出したが取引先もだ。
 彼を見てだ、陰で囁き合った。
「何であんな奴を寄越すんだ」
「文書偽造、横領をしたんだろ」
「犯罪だろ、それ」
「無罪でも絶対にやってる」
「あいつならやる」
「無罪と無実は違うからな」
「ああした奴がやってない筈がない」 
 ジョンソンの人間性を知っている囁くのだった。
「ああいう奴はな」
「絶対にやっている」
「やっていない筈がない」
「あいつの会社に言って他の人来させてもらおう」
「あいつとは仕事をしたくない」
「顔も見たくない」
 こう言ってどの取引先もジョンソンお断りとなった、だがそれでもジョンソンは平気で会社を時折さぼりつつも出勤していた、そのうえで自分より強い相手には諂おうとし弱い相手はいびろうとしたが最早誰もがだった。
 彼に近寄ろうとはしなかった、そして遂にだった。
 ジョンソンの評判があまりにも悪いのでだ、これまで彼が取り入っていた労働組合の上層部も彼の噂を聞いて思いはじめた。
「とんでもない奴みたいだな」
「会社で色々やってるそうだな」
「セクハラにパワハラか」
「文書偽造に横領」
「弱いものいじめが好き」
「しかも強い相手には媚びるか」
「最低な奴みたいだな」
 彼の正体に気付きだしたのだ。
「組合でも立場を持っているが」
「こんな奴を組合に置いておけないな」
「むしろ組合の中でも何をやってるかわからないぞ」
「文書偽造とか横領していないか?」
「こうした奴はしているぞ」
「証拠は揉み消していてもな」
 胡散臭いと思いはじめ彼等の中で調査をしたところやはり灰色でだ、刑事告訴はしないがこれを理由として組合は彼を除名とした。
 それでも彼は平気だったが。
 会社の社長もだ、組合の後ろ盾も失い評判も甚だ悪く不真面目な勤務態度が社員達から常に報告されていてだ。
 遂にだ、この決断を人事部長に告げた。
「彼は懲戒免職だ」
「そうしますか」
「あまりにも酷い」
 勤務態度も評判もというのだ。
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