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エターナルユースの妖精王
火竜と猿と牛
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酷い吹雪だった。まともに周囲も見れやしない。はあ、と吐いた息が白く、ふわりと消える。
こういう時、飛べてよかったとニアは思う。靴が濡れる事も、ズボンの裾を濡らす事もなく、雪を踏みしめなくても雪山を歩けるのはとても楽だった。
とはいえ、ニアは飛べるだけだ。吹き荒れる吹雪を回避する手段は、はっきり言ってニア個人にはない。足先に意識を回せても、結局全身ずぶ濡れになってしまう。
が、それはニアが一人だった場合の話。彼はいつ何時も、一人きりになる事はまずないのである。

《どうだい、ニア。寒くないかな?》
「ああ、快適だ。悪いなマーリン」
《私と君の仲だろう、気にする事じゃないよ》

くすくすと口元に手を当て笑うのは、真珠のような光沢のローブを纏う青年だった。あちこち跳ねたり緩くうねった髪は毛先に近づくにつれ色を濃くし、頭頂部の淡い髪色が、徐々に深い紫に染まっている。右手には身の丈より少し背の高い、先端に魔水晶(ラクリマ)を飾った杖。ニアと同じように地面から少し浮いた、マーリンと呼ばれた青年は《ふむ》と一つ頷く。

《寒さにも暑さにも滅法弱い君が、こんな軽装でこんな雪山に行くと言うから、気に食わないけどベディを呼ぶべきかとも思ったけど……》
「何でだよ」
《いや、君の世話係はアイツだろう?納得いかないけど。……ともかく、何故そこで私なのかと思った訳だよ。まあ今は理解出来てるけどね、君は防寒壁がほしかった訳だ》

そう。今ニアが呼び出しているマーリンは魔導士である。専門は攻撃系魔法よりも防御や補助系魔法。戦いの場であれば後方で支援を行い、別に呼び出した誰かを強化し守るのが彼の役目だ。余談だが、ニアをサポートする機会はあまりない。彼は、自分の手は汚さない主義なのである。
とにかく、そのマーリンが扱える魔法の中には、暑さや寒さをいくらか遮るものもある。その魔法を持ち前の魔力でブーストし、足りないようなら数度重ねて、このおかげで防寒具の一つも用意していないニアでも雪山で平然と立っていられる訳だった。

「…寒いの嫌だし。それにお前、そういうエンチャント系得意だっただろ。そんな用で呼ぶのもどうかと思ったけど、寒いのは本当に嫌だし……」
《だった、ではないよ。現在進行形で大得意さ。あと私は、君からならどんな用で呼ばれても構わないから気にしなくていい。何ならいっそ、呼んで呼んで呼びまくってくれたまえ。そうすればベディに自慢出来るぞっ、いやあ楽しいね!》
「そうだった、お前ってそういう奴だった……ベディに喧嘩売りたがるよな、マーリンって…」
《えー、だってアイツずるいしー?私だって君の世話係に立候補していたのに先越されて、何でもかんでも独り占めだし?》
「前々から思ってたが、何でそんなにオレの世話係って人気なんだよ……別にオレ、由緒正し
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