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エターナルユースの妖精王
火竜と猿と牛
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だが、それとこれを一緒には出来る訳もない。彼は何か気に留めたり何かをよく見たい時は、そのものではなく自分が距離を詰めるタイプなのである。―――と、軽く現実逃避していたのが、よくなかったのだろうか。

「!!!」

視界が広くなった。先ほどまで閉塞的だった空間が広がって、遮断されていた冷気が一気に肌を刺す。透明な壁を一枚挟んでいたはずのバルカンの顔との間には何もない。
最後の砦だったホロロギウムがいなくなってしまったのだと、否が応にも気づいてしまう。

「ちょ……ちょっとォ!!ホロロギウム!!!消えないでよ!!!」
『時間です。ごきげんよう』
「延長よ!!!延長!!!ねえっ!!!」

慌てて呼びかけるが、返って来たのはそんな言葉。それ以降は返事もない。
寒さと恐怖に震えながら真正面を見る。ついに邪魔するものがなくなったと気づいたらしいバルカンが荒く鼻息を吐いていた。んふ、と音がする度に薄く白い息が見え、消えていく。
星霊を呼ぶ、という行動すら取れない。毛布を強く掴み、目を逸らす事も出来ずに、そんなルーシィにバルカンは、じわじわ距離を縮めて来る――――

「うおおおっ!!!やっと追いついたーっ!!!」
「ナツ!!!」

大きな足音が響く。音を辿って左を向けば、大きく腕を振ってこちらに走ってくるナツの姿が見えた。
どうやらあの後追いかけて来てくれたらしい。ナツの目的はルーシィではなくバルカンの方かもしれないが、今はそんな事はどうだっていい。これでこの状況から脱する事が出来るのだから。

「マカオはどこだああ―――――っ!!!」

走るナツ。
……だが、今更ではあるが、ここは雪山である。足元は、少しとはいえ凍っているのである。

「あがっ!!ぐおおふあっぶへっ!!!」

つるん、と。
駆けて来るナツの足が滑った、と思った時には、勢いを殺す事も出来ず、ぐるぐると体を縦に回転させたまま思い切り壁に激突していた。ぶつかったと同時に派手な音を立て、逆さまになりながらどうにか止まる。
これには助けられた身のルーシィも「ふ…普通に登場とか出来ないのかしら…」と額に手をやって呟いた。

「オイ!!!サル!!!マカオはどこだ!?」
「ウホ?」

逆さまのままナツが言う。ここでようやくナツに目を向けたバルカンは緩めていた顔を引き戻し、何を言っているんだと言わんばかりに声を上げた。相手の目が自分に向いていないその隙に、ルーシィはさささっと座ったままバルカンから離れる。
乱れたマフラーを直しながら立ち上がったナツは、今度は走らずバルカンと距離を詰める。

「言葉解るんだろ?マカオだよ!!人間の男だ」
「男?」
「そーだ!!どこに隠した!!?」
「うわー!!「隠した」って決めつけてるし!!!」

びしっと
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