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SAO−銀ノ月−
第百二十二話
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れからも、楽しく遊んでいこう?」

 そしてこちらを振り返ったユウキは、いつも通りの底抜けに明るい笑顔を見せてくれていた。しかしユウキがこちらに伸ばしてきた手は、その表情とは裏腹に震えていて、目の端には隠しきれない涙が浮かんでいた。

 彼女がどんな思いでこの《幽霊囃子》クエストをクリアしたのかは、俺たちには未来永劫分からないだろう。かつての仲間であるクロービスが作ったこの世界で、二度と会えないと思っていた姉に再び別れを告げて。

「……決まってるだろ。これからもよろしく、ユウキ」

 今の俺が彼女に対して出来ることは、ただその手をゆっくりと握り返すことだけだった。それだけでも彼女の手はゆっくりと震えが収まっていき、その後に強く強く握り返してきた。こちらが顔をしかめているにもかかわらず、ぶんぶんと握った腕をひとしきり振った後、満足げに笑っていた。

「――うん!」


 ……こうして、俺たちは《幽霊囃子》クエストをクリアした。つまりここからは後から聞いた話だが、どうやらあのクエストには、ある暗号が隠されていたらしく。不幸にも、俺たちにそれは発見出来なかったものの、その暗号を解読するとある文字列が浮かび上がるとのことで。

 それはこのクエストの開発者であるクロービスが、誰かに託したメッセージのようだった。

 ――『僕はここにいる』、と。

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