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Omniscient
1部
もう始まる章
俺と彼奴は全知全能.5

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なんかもう午後の授業を受ける気が失せたので、後の授業はサボる事にし、そそくさと荷物を持って家へ帰る。そそくさと、といっても登校の時と同じようにまた2時間近く掛けて帰るのだが。
             ::::::::::::::
やっと家に着いた。自分の部屋に入り、制服の上着を脱ぎ捨てると、鏡の前に在るベッドに体を投げ出した。
しばらく考え事をしていると、突然強烈な睡魔が襲って来た為、瞼を閉じ、一切の煩悩を遮断する。
何時の間にか睡魔は消えていた。というか、ここ何処だ?何で俺は立ってるんだ。俺の前に居る奴は誰だ。
「あ、起きたんだ。良かった。ちょっとね、あっちの世界から君が飛ばされて来ちゃったみたいなんだ。早く戻らないと狂うよ。」
は?何か喋り出したと思ったら、よく解らない事ばっか言いやがって。そもそも誰だこいつ。
「あのー、彼方誰ですか。」
「あ、自己紹介を忘れてたね。僕の名前は榮倉咲埜。よろしくね。」
「?榮倉翔也は俺だろ。なんでお前がそれ名乗ってんだよ。そもそも榮倉なんて苗字は俺の母方の親戚にしか居ないんだ。俺はお前みたいな奴なんか知らねーよ。」
「勘違いだよ。それ。訂正するよ、僕の名前は榮倉咲埜。咲くに埜原村(ヤワラムラ)の埜だよ。で、君がさっき言ってた苗字の事だけど、こっちの世界とあっちの世界・・・こっちの世界が今僕たちがいる所で、僕の住まいがある。あっちの世界っていうのは、君が暮らしてる世界の事だ。その両方の世界は全くの別物だからね、君の世界では榮倉は君の親戚にしか居なくても、こっちの世界では僕を含む親戚の苗字なんだ。勿論、僕と君も全くの別人だけど、何かの巡り合わせかな、僕と君がそれぞれの世界に居ることで両方の世界の秩序は保たれてきたんだ。だけど、今日君がこっちの世界に来てしまったせいで両方の世界の秩序が狂い始めてる。だから今君にできることは、一刻も早く元の世界に戻ることだ。」
ふむ、とりあえず一通り解ったぞ。簡単に言うと、今俺は異世界に迷い込んだ状態だってことだ。で、俺と彼奴がそれぞれの世界に居ることで保たれて来た、それぞれの世界の秩序が俺がなぜかこっちの世界に来てしまったせいで崩れ始め・・・・・・・・・・・・・・・・
「っておい!もしかして今めっさヤバい状態じゃねえか!どうやって戻んだよ。」
「あぁ、その辺は任せといて。僕の力で飛ばしてあげるから。でもそのうち君も自分で出来る様にならないとね。なんせ放って置いたら大変な事に為る力何だから。」
すると、突然体が捻り回されるような何とも言えない感覚が体を包み込む。最後に彼奴の「じゃあね」という声が聞こえた気がした。
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