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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
V 6.7.PM12:34
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アドバイスを受けたんですか?」
「自分が何とか対処するので、私は一言たりとも事件について他言しないようにと…そう言われました。ですが…七海の婚約のこともあり、それで結城弁護士に意見を伺ったのです。」
 なるほどねぇ…。結城も根本を解決しなければ、二人の挙式は難しいと判断したのか…。こりゃ…誰が聞いたって、そう考えざるを得ないだろう。
 意味不明な怪現象に怯える上に、そのことで人が消えている…その中で無理に式を挙げるなんて、どんな人間でも出来ないだろう。
 しかし…だ。飯森前首相が陰ながらにでも動いているのなら、少なくとも行方不明者はもう見付かっても良さそうなものだが…。
「相模様…もし、この仕事を降りたいと仰られるのでしたら、それもやむを得ません。ですが…七海のために、どうか…。」
 如月夫人がそう言った時、不意に扉をノックする音が聞こえた。夫人が入室を許可すると、扉が開いて米沢さんが姿を見せた。
「失礼致します。奥様、飯森様がお越しになりました。応接室へご案内しておりますが、宜しかったでしょうか?」
 米沢さんの言葉に、私と夫人は顔を見合わせた。この段階で、私が彼と顔を合わせるのは賢明とは言えないだろう。如月夫人だって、私を雇ったことを知られるのは気まずいだろうからな。
 だが…何の用もなく前首相がこんな田舎町へと来るとは考え難い。恐らくは…事件について何かしらの進展があったに違いない。
「着替えてから行くから、暫くお待ち下さるよう伝えて。」
 夫人がそう言うと、米沢さんは「かしこまりました。」と返事をして出ていった。
「如月夫人…私はこれで失礼します。」
「いえ…相模様にも是非ご紹介したいので、一緒に来て頂きたいのです。」
「ですが…ここで私が彼と顔を合わせるのは些か…」
「ご心配には及びません。私が動いていることなど、彼はとうに知っている筈。相模様が突然現れても、彼は驚きもしないでしょうから。」
 夫人はそう苦笑混じりに言うと、着替えをするために部屋を出ていった。私も今の格好ではどうかと考え、身形を整えるために出たのだった。
 私は部屋へと戻って着替えを済ませ、少し考えた。本当にこのまま会っても良いものかと…。
 仮にも、私は探偵なのだ。些細な事柄をも見抜き、そこから真実を探り出すのが仕事だ。政治家である飯森氏にとっては、会いたくもない人物であることは確かだと思う。
 私がそう考えを巡らせながら廊下へと出ようとした時…。

パタパタパタ…

 扉の向こうから、誰かの走る音が聞こえてきた。だが…それはおかしい…。この館の床は、その大半が絨毯を敷き詰めた状態なのだ。その上を走ったとしても…そんな音になる筈はないのだ…。
「誰だっ!」
 私は思い切って扉を開いたが、そこには誰の影も無かった。
「何なんだ
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