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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#41
FAREWELL CAUSATION〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE FINAL〜
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【1】


 ヴァグオオオオッッッッ!!!!
 高層から血飛沫と羽根吹雪を散らし斜角軌道で撃蹴された少女の躰が
無情に硬いアスファルトへと着弾する。
 濛々と舞う粉塵と紅蓮の火の粉、地点はクレーターのように抉れ
その原因と結果の相対差が受けた衝撃の凄まじさを物語る。
 頭上で仕留めた獲物を見下ろすでもなく、
濡れた炎の翼を鷲掴みにして吼える血染めの獅子。
 パワー、スピード、威圧感(プレッシャー)
何れを取っても此処より離れた場所で真の姿を顕した
“千変” の雷獣に劣らぬ恐嚇。
 紅世最強は己だと云わんばかりに、
鳴り響く咆吼が少女の白肌を痿痺(いひ)させた。
「あぁ……う……!」
 鋼の牙に蹂躙された左肩、肉ごと双翼をもがれた背中、
通常ならば再起不能、そうでなくとも戦闘を継続出来る状況ではない。
 間断なく流れる深紅の液体、その溶かした宝石のような滑らかさ艶やかさとは
裏腹に、地獄の惨苦が少女の神経を掻き毟った。
「あぁ……ッ! うぅ!! あうぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッッッ!!!!」
 押し殺そうにも押し殺せない、生命の危難信号が意志を無視して明滅する。
 圧迫するように抑えた左肩、応急の止血も出来ない背中、
着弾の衝撃に疵痕は更に裂け、自死を仕向けるが如く苦悶と激痛が合奏する。
 強力な紅世の戦士と雖も一人の少女、
「痛み」 対する抵抗力は男より低いのだ。
 ズドゥッッ!!
 間近、遙か遠方にも関わらずそう感じられた爆砕音、
その中心に頭上から直下で急降してきた獅子の王に、山吹色の光が傅いた。
 足場にしていた背後の大樹、ソレすらもこの王にとっては
己に従属する灌木に過ぎなかった。
『Luuuuuuu……GUGU……』
 威嚇ではない、手負いの獲物を捕食するために漏れる獅子の唸り、
刻印の如き双眸が緋色に発光し、そのまま音を置き去りにして
地に伏す少女へと襲い掛かる。
(ひ――ッ!)
 戦慄く口中で悲鳴を飲み込んだ少女を称えるべきか、
しかし血染めの獅子はそのような自制など意に関さず四足の狂走、
路面に凄爪が一瞬しか触れない、だがその反動と衝撃のエネルギーを最大限に活性し、
四肢の駆使で爆発的に稼働し最終的には音速を超えた雷速にて、
刃の尾を振り立たせの鬣を揮い挙げ、
撃砕したコンクリートを撒き散らしながら少女の喉元へと急迫する。
(く、来るな――ッ!)
 大刀を脇に挟み、右掌で夥しい炎弾を乱射するシャナ、
だが恐慌状態の遮二無二接近を拒む精神のため照準が覚束ず、
かろうじて命中したモノも堅牢な装甲に弾かれ獅子の猛進を止められない。
『LUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッッッッッッ!!!!!!』
 紅鎧内部のソラトの声か、それとも変貌した
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