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銀河HP伝説
一日副官!適声試験!!
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エルンスト・フォン・アイゼナッハは沈黙提督と評されている。いや、事実そうである。その声を未だかつて同僚たちは聞いたことがなく、アニメにおいて彼が発した声はただ一言「チェック・メイト」のみであった。(この一言が発せられた瞬間を分秒まで記録されていた、というのはよほどの事であろう。)
 そんなアイゼナッハであるが、彼もまた軍隊に所属し、しかも上級将官である以上、だんまりを決め込むわけにはいかない。平素ならともかく、艦隊指揮においてはどんな寡黙な軍人であろうとも、等しく命令を下さなくてはならないのだ。

 だが、アイゼナッハは断固として、いや、面倒くさいだけなのかもしれないが、口を発しない。口を開く代わりに、ジェスチャーを行って命令を伝える。これがまた曲者なのである。彼のもとに就く副官は、皆このジェスチャーを理解し、正確かつ迅速に伝えなくてはならないという平素の副官任務+アルファの資質を要求される。
彼らは何一つ見逃さないようにと眼をひん剥き、アイゼナッハの一挙一動をそれこそ嘗め回すようにして観察するのである。したがって、アイゼナッハ麾下の副官たちは皆ドライアイに悩まされるというおまけがついてくる。『「目の霞には、アルガード!」が必要です』というCMをアイゼナッハ麾下の全将兵は知っている。



今宵もゼー・アドラーでは主要提督が勢ぞろいして酒杯を交わしあっていた。涼やかな夕刻、暑かった昼間が嘘のような涼しさである。そんな中をテラスに微風にふかれ、好きな酒を飲むというのはなかなか乙なものだろう。ゼー・アドラーは、中の席だけではなく、そとのテラス席も設けられていた。
「どうだ卿ら、もし卿らがアイゼナッハの副官であったなら、グリースやグリーセンベックのように上官の指示をうまく伝達できるか?」
ミッターマイヤーがふと話題を変えて提督たちに振ってみた。
「無理でしょうな。まずアイゼナッハが何を考えているかがわかりませんと、そのジェスチャーを理解しようがない。」
ワーレンが真っ先に答える。
「そうか?奴のジェスチャーはそう難しいものではないと思うが。それにジェスチャーなんてものは、前、後ろ、右、左、上、下、撃て、撃ち方やめ。これだけ覚えていれば、後はそれを組み合わせれば問題なかろう。」
と、ビッテンフェルト。だがこれには誰もが口には出さないものの異論ありという顔をしていた。
「そのような単純な指令で艦隊が動かせるようなら、俺たちは必要ないな。」
ロイエンタールが苦い笑いを浮かべた。
「けれど、誤伝もあるわけだし、ジェスチャーは単純かつ明瞭な方がいいわよね。」
と、バーバラ。その隣でフィオーナが、
「そうね。戦局によって指示は変わるけれど、基本的なジェスチャーは単純な方がいいと私も思う。」
「どうなんだ?アイゼナッハ?」
ルッツが水を
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