暁 〜小説投稿サイト〜
嘘をつくから
代償によって
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今ここに悪魔が来て、願いを叶えてあげるって言ったら
わたしね、あなたと恋人になってみたい

一日だけでいいよ

だって
そうじゃなきゃあの子に申し訳ないから

もし本当にそうなったらね、
朝、あなたからの電話で起きて、デートの誘いを受けて、

「いつもいきなりだなあ」

なんてさ、迷惑みたいな顔して電話をきる

あんまり気取らない格好で行くね
でも、女の子らしさはちょっと残るようにして

隣を歩いてる子がおしゃれな方が、良いよね?

そんなの気にしないかなあ

家を出たら駅前でわたしを待ってるあなたを探すよ

「またその服なの?好きだなあ」

後ろから、ちょっと皮肉を言ってみたり
うるせえって笑って、叩く真似をするんでしょ

想像ついちゃうよ、何年友達でいると思ってるの

昼ごはんはフードコートで、それぞれ好きなものを食べよう

食べ終わったら映画を見に行く

映画は恋愛ものなんかじゃなくて、アクションとかミステリー
ホラーは苦手

予告を見ながら

「これ面白そう」
「予告はうまく作るんだ」

って、おしころした声でこそこそ笑おう

映画はきっとおもしろい
二人とも満足して

映画館を出たら4時くらいで
することもないから、いろんなお店を見ながら歩く

ねえよかったらその時は手をつないでくれない?

お願い、1日だけだから

お店を出たら外は少し暗くなってて
なんとなくお別れの雰囲気がでて

いつものわたしなら、そこでばいばいしちゃうと思うけどね

1日しかないんだもの

夜景なんて全然見えないおじさんおばさんの散歩コース
そこに並ぶベンチに座って

抱きしめてほしい

案外優しい手つきのあなたが、ほんとに優しく、抱きしめてくれる

しあわせだ

あふれだして止まらないくらい幸せ

わたしね、ほんとはあなたの事好きかどうかわからないの
でもあなたに認めてもらいたい
おもしろいやつだって思われたい
特別にしてほしい

すきだって、思われたい

それが好きってことだよって言われたらそうかもしれないけど
わたしは違うような気がしてるの

あなたは訳が分からないって顔するんでしょ

でも好きな人には優しすぎるくらいのあなただから
困って、少し馬鹿にしたように笑って、
それで

それで

キスして

冷たいその手でほっぺを触りながら
しあわせだって顔をして

ああ、わたしも

手をつないだまま駅まで歩いて
またねって言って

家に着いたらあなたからの電話

「さっき別れたのに」

いつもこんな言葉から始めちゃう
ごめんね

電話を切ったら11時47分

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