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逆柱
第六章

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「八条住建ではかなり気をつけています」
「柱は順にして建てる」
「お家を造るにあたっては」
「はい、そうしています」
 まさにというのだ。
「絶対に」
「そうしたことをしないと」
「本当に怪異が起こるのですね」
「そうです」
「だからですか」
「この様にしていますか」
「そうしています」
 実際にというのだ。
「絶対にそうしたことがない様に」
「私達の家にしても」
「そこは守ってくれていますか」
「家の怪異はあります」
 現実として、だ。
「ですから気をつけています、では」
「私達夫婦の家も」
「その様にしてですね」
「建てていますので」
「安心していい」
「そうですね」
「はい」
 実際にという返事だった。
「そのことはご安心下さい」
「わかりました、ただ」
 ここで哲章は諏訪に尋ねた。
「この家を建てた業者はどうなりました?」
「あっ、その業者ですね」
「はい、どうなったのですか?」
「他にもいい加減な仕事ばかりしていまして」
 それでとだ、諏訪は夫婦と共にその家を見つつその業者について話した。
「悪評が立ちまして」
「それで、ですか」
「はい、倒産しました」
「そうなったのですか」
「今ではあのお家は管理者もなく」
 それでというのだ。
「市が管理しています」
「そうなっていますか」
「はい、後々お祓いをしてです」
 そしてというのだ。
「家を取り壊すことになっています」
「そうなりますか」
「もう誰も住まないですし管理者もいないので」
 管理をしていたいい加減な業者も倒産してだ。
「そうなっています」
「そうですか」
「はい、今は」
「わかりました」
 哲章は諏訪のその言葉に頷いた、そして真弓もだった。
 そのやがて壊されるという家を見つつだ、二人で話した。
「家は大事だな」
「そうね、ちゃんとした業者さんにちゃんとしたお家を建ててもらわないとね」
「自分が不幸になる」
「そういうことね」
「はい、私達はしっかりと建てさせてもらいますので」
 諏訪も二人に言う。
「柱のこともご安心下さい」
「期待しています」
 その新居のこともとだ、二人は応えた。そしてその新居の家に入ってだった。幸せな生活をはじめるのだった。柱もしっかりと順になっているしっかりと建てられた家で。


逆柱   完


                      2017・6・20
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