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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十二話 捕虜交換(その3)
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下に行き、彼と共に歩む事が出来ただろう。だが私は同盟に生まれた……。

ユリアンが軍人になりたがっている。彼が戦場に出るところなど私は見たくない。だが民主主義が消滅するところも見たくは無い。統一ではなく和平による共存、それは不可能なのだろうか?

ヴァレンシュタイン元帥は一時的な和平ではなく恒久的な平和を考えている。そして共存は不可能だと答えを出したのだろう。彼の考えは分かるし理解も出来る。だが……、もう考えるのは止めよう。そろそろパーティの準備をしなければ、パーティが始まれば少しは楽しめるだろうか?



宇宙暦 797年 12月 31日    ハイネセン ある少年の日記

十二月十日

今日、イゼルローン要塞に帝国から捕虜交換の調整担当官が着いたそうだ。帝国軍のトップはエルネスト・メックリンガー上級大将。正規艦隊の司令官だけど鼻髭を生やしたオジサンだ。なんでも芸術家だとTVでいっていた。絵を描いたりピアノを演奏したり詩を作ったりするらしい。

それって貴族趣味なのかと一瞬思ったけどメックリンガー提督は平民だし変なの。旗艦の中でも絵を描いたり詩を創ったりしているのかな? 部下の人はそういう時はどうしているんだろう?


十二月二十一日

イゼルローン要塞で行なわれていた捕虜交換の調整が昨日終わったそうだ。今日の朝のニュースで流れていた。やったね、これで捕虜交換は問題なしだ! これまでニュースでは調整は必ず上手く行くといっていたけど年内に終わるかどうかはちょっと疑問だと言う人もいた。

お互い面子が有るから困窮? 紛糾? どっちだか分からないけどそうなって大変のはずだと。でもイゼルローンに居る担当者によると帝国側がかなり譲歩してくれたらしい。メックリンガー提督のお蔭だといっていた。メックリンガー提督、鼻髭のオジサンだなんて御免なさい。

今日は学校でもこのニュースで大騒ぎだった。クラスの中にも家族や親戚の中に戻ってくる人がいる子も居る。彼らは皆とても嬉しそうだ。戦争が有ると戦死者や捕虜が出てそのたびにクラスの中が暗くなった。どうしてもっと早く捕虜交換をしてくれなかったんだろう。


十二月二十六日

昨日、捕虜交換の調印式が行なわれた。帝国からはヴァレンシュタイン元帥がやってきた。僕はこれまで元帥を見た事が無い。元帥の写真は有るけど、ずっと昔の写真で元帥の具合が悪いときの写真らしい。おかげで写真に写る元帥は真っ青で苦しそうな疲れきったような表情をしている。これじゃ憎い相手でも少し同情してしまう。余り良い写真じゃないよ。

本物のヴァレンシュタイン元帥は小柄な人だった。まだ大人じゃないというか子供でもない、学生みたいな感じの人だった。顔も優しそうな笑顔を浮かべていてなんていうかお姉さんみたいだ。TV
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