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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
701部分:第百二話 ゲヘナの神その三

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第百二話 ゲヘナの神その三

「あの時の闘いの動きをな」
「言っておくが我等にも一度使った技は通じぬ」
 ドーマはこのことも言ってみせた。
「それは貴様等と同じだ」
「そして同じ動きもだな」
「そうだ。通じぬ」
 まさにその通りだというのだ。
「貴様もそれがわかっているからこそだ」
「無意識のうちに避けていたというのだな」
「その通りだ。それこそがこのドーマの相手に相応しい」
 それだけのことができるからだというのである。
「力だけではないのだからな」
「モロク、貴様もまた力だけではないか」
「無論だ。我等八大公は狂闘士達を束ね」 
 それだけではないのだった。
「こうしてアーレス様のお傍を守護するのだ。愚かであってできるものではない」
「神を護る戦士達か」
「アーレス様こそは我等が全て」
 絶対の忠誠もまた見せるのだった。
「だからこそだ。わかったな」
「何度も聞いている。だが」
「だが、か」
「貴様等のその忠誠と心には敬意を表する」
 それにはだというのだ。
「見事としか言いようがない」
「そうか」
「しかしそれは我等も同じ」
 そのうえでこうも言うのだった。
「我等聖闘士も同じだ」
「アテナに対してか」
「そして人間に対してだ」
 アテナと彼等にだというのだ。
「アテナが信じ愛している人間もまただ」
「確かに我等は人間だ」
 ドーマもそれは否定できなかった。己が人間であることはだ。
「しかしだ」
「しかし。何だ?」
 激しい光と光の応酬の中でのやり取りだった。双方の拳が光となりそのうえで打ち合っているのである。美しいが凄まじい応酬であった。
「何だというのだ、貴様は」
「人は神の僕」
 これが彼の考えだった。
「神は人を導かれる存在だ」
「アーレスがか」
「そうだ。アーレス様が人を理想の世界に導いて下さるのだ」
 まさにそうだというのである。
「アーレス様が。人を永遠の戦いが行われる素晴しい世界に導いて下さるのだ」
「それは人の世ではない」
 アルデバランはそれは一言で否定してみせた。
「決してだ。そうではない」
「では何だというのだ?」
「それは修羅の世界だ」
 彼が述べた世界はそれだった。
「人の世ではない」
「修羅か」
「人は戦いに満ちた世では生きられはしない」
「弱き者達はな」
「強いも弱いもないのだ」
 まずそれを否定するのである。
「あるのはだ」
「何だというのだ?それでは」
「慈しみだ」
 出した言葉はこれだった。
「それがあってこその人だ」
「戯言だな」
 ドーマはにこりともせず彼の言葉に返した。

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