暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 文倉ひかりの恋路
後編 目指して行く幸せ
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、なにかがしたいんだ」

 ――やっぱり、わかってないんだなぁ。この人は。「資格」なんていらないし、そもそも償うようなことなんて、ないのに。

 忘れようとしていようが、いまいが、結局は私のことをちゃんと覚えてる。それで、十分なのに。

「本当にそんな資格のない人間が、わざわざ自分の間違いを人に話すのかしら?」

「……え?」

「そんなに欲しいなら、いますぐあげます。貰っちゃうのは、むしろ私の方なんだけど――ねっ!」

「――!?」

 ――でも、そんな奥ゆかしい路郎君も、私は大好きよ。
 不意を付いて重ねた唇が、それを証明してる。これで、鋭美とは引き分けね!

「じゃあ、私のためにしてほしいことが一つあるの。これから週一回、孤児院のみんなと遊んであげて! 約束よっ!」

 私にしては、珍しくノリノリの口調だった。勢いとは言え、大路郎君と念願のキスを果たしたんだから、当然よね。

 何が起きたか判断出来ず呆然としている大路郎君と、「ママとパパがチューしたー!」と大喜びの瑳歩郎の手を引いて、私は帰路につく。

 この時、私はきっとものすごく真っ赤な顔になっていただろう。あれだけ大胆なアプローチを初めて試みたんだから。

 でも、不思議と恥ずかしさはあまり感じなかった。「大路郎君と距離が縮まったように感じた」……という、恥じらいを超える喜びに包まれていたからに違いないっ!

 この日以来、大路郎君は度々孤児院に足を運ぶようになり、子供達ともすっかり仲良しになってしまった。

 瑳歩郎がいろいろと言い触らしたせいでしょっちゅうからかわれているようだが、それを含めて、私も彼も幸せな時間を過ごすことができた。

 院長先生や子供達に囲まれている今でも十分幸せだけど……いつかきっと、大路郎君と――

「けっこーん! パパとママ、けっこーんっ!」

 も、もう瑳歩郎っ! いいところなのにからかわないでよ〜っ!

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