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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第22話 ヒーローの名乗り
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 それに校長も、結局は否定しなかった。

 この事件は、起こるべくして起こったものなんだと、俺は認識していた。

「それでもアンタはあっちに付こうってわけ? そうよね、アンタからすれば、ここでアタシを潰せれば、桜田家に取り入るチャンスだもんね! 権力にでも目が眩んだのね!」

「あんたは確かに怒って当たり前だと思う。俺だって、そんなことをされたらどうしようもなくなるくらい怒るさ。でも、このままあんたを行かせちまったら、きっとあんたは引き返せなくなる。……そんなの、見ていられない」

「黙れ、アンタがアタシ達の何を知ってるってのよ!」

 狩谷は怒号を上げ、俺の腹を膝の刃で勢いよく突き刺した。
 冷たい痛みが、赤い花のような染みと共に全身に広がっていく。

 今まで抱えていたものが溢れ出して来たように、彼女の表情は悲しみや怒りをないまぜにした、『感情』そのものが現れていた。

「ぐッ……何も知らない、さ。あんたが言うように、俺はなにも知らない。知らないから、知りたいんだよ。知るまで、ほっとけないんだよ……!」

「うるさい、うるさいうるさい!」

 俺を弾薬入りパンチで吹っ飛ばし、狩谷はこちらを睨みつける。
 自分でも、今の自分が正しいと言い切れない――そんな苦悶の表情で。

「アタシは約束を守れなかった! なれなかったのよ、なれるはずだったヒーローに! あの娘に、ひかりに、合わせる顔がないじゃない! どうしてくれるの! 責任取ってよ!」

 ――やっぱり、狩谷もひかりと同じ孤児院にいたのか。

 いじめられていた彼女の友達になってあげてたんだな……やっぱり、ひかりは優しい。

 ひかり、見てろよ。
 今度こそ、今度こそ救って見せる。舞帆も、お前も、お前が守った友達も。

「アンタ、一体何なのよ! 知った風な顔してんじゃないわよ!」

 さっきまでと違い、身の上を訴えたことがきっかけで感情的になったからか、彼女の攻撃は以前までの正確や鋭さを欠き、直線的なものになっていた。

 恐らくこれが、彼女を止める最初で最後のチャンスになるだろう。
 狩谷のヒーローへの想いの強さが、俺に勝機を与えてくれる。

「俺が何なのか――か。そういえば、名乗りがまだだったな」

 ふと思い出した、セイントカイダーの名乗り。

 俺はそれを胸に、一旦間合いを取った。
 向こうはまた何か新しい武器でも使ってくるんじゃないかと警戒しているようだ。

 俺はそこで、今日に至る今までを一度、振り返った。

 ――二年前のあの日から、俺は舞帆に救われた恩を忘れたことはなかった。

 初めて会った頃は俺の方が強気でいたのに、いつの間にか立場が逆転していたのは記憶に新しい。

 それでも、俺はきっ
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