暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第3話 波乱のパトロール
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―もとい「セイサイラー」の前方に見えるハッチが開かれ、通路が出現した。ここから地上へと繋がる登り坂である。

「じゃ、行ってくらぁ」
「バカやって傷物にするんじゃないわよ」

 一気にアクセルを押し込み、轟音と共にセイサイラーは俺を乗せて、発進した。

「みんな知ったらビックリするでしょうねぇ。宋響学園の平和を守るセイントカイダーを、おバカの大路郎がやってるなんて、ね。まあ、本当のアレ(・・)はこんなもんじゃないんだけど……」

 僅かに聞こえた達城の声を、背に受けて。

 △

 このセイサイラーは、セイントカイダーとして活動する上で不可欠とされる特注品だ。
 それだけに、並のスピードじゃあない。

 黄色と白で彩られた滑らかなフォルムが、風を切り裂き、進んでいく。

 ……こういう物を扱う道に進んだ以上、どんなトラブルだって避けられないもの。
 この時の俺は、それを忘れていた。

「い〜い気持ちだ。こういうのを役得って言うんだろうなぁ……ん?」

 ふと、向こうに見える横断歩道に異変を感じた。目を凝らしていくと、その正体が見えて来る。

 そして、悪寒が全身にほとばしる。

「……あれはッ!?」

 横断歩道の信号が青なのに、突っ切ろうとするスポーツカーがいる。
 その先には、道の真ん中で立ち尽くす子供の姿。

 ――いかん!

 第六感が警鐘を必死に鳴らしている。
 俺は加速し、スポーツカーに追い付こうとする。

 更に、横断歩道側にも変化が起きた。茫然としていた子供を庇うように、女子高生くらいの少女が立ち入って来たのだ。

 当たり前だが、そんな事では車は止まらない。

 このままじゃあ、二人揃って撥ねられる!

「くそっ――たれがぁぁぁあッ!」

 俺は全速力で疾走し、スポーツカーを追い越した。
 その瞬間、一気にブレーキを踏み込んで、横断歩道の前で前輪を軸に時計回りに回転した。

 急な加速と方向転換で、脳みそが揺れる。ていうか、遠心力で吹っ飛ばされちまいそうだ。

 こうして、スポーツカーに対するバリケードとなった俺は、そのまま追突の衝撃をモロに受けた。

 スポーツカーは衝撃の余り後方が跳ね上がり、女子高生と子供のいる横断歩道を通り越して宙を舞い、ひっくり返ってしまう。
 ガラの悪そうな男女が恐怖に震えながら、車内から這い出てきた。

 俺はセイサイラーから投げ出され、近くの建物の壁に思い切り全身を打ち付けてしまい、そのまま落下。

 しかも、飲食店の看板にぶつかって肋骨に痛みが走るというおまけ付きだ。
 ……骨が折れていないだけマシと言えよう。

 少し前の時代なら異常そのものな光景だろうが、ヒーロー全盛の今時なら、わり
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