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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十三話 キュンメル事件(その1)
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ですね。分かりました、フェルナーをそちらに向かわせましょう』
「よろしく御願いします。現地には憲兵隊も行く事になっています。アントンに伝えてください」

『分かりました。閣下、無茶はしないでくださいよ。閣下一人の命ではないんですから』
やれやれ、保護者がまた増えたか……。俺ってそんなに頼りないかね。


帝国暦 488年  8月 16日  オーディン  キュンメル男爵邸 アントン・フェルナー



キュンメル男爵邸に行くと既に憲兵隊が屋敷を包囲していた。約二千名ほどは居るだろう。レーザーライフルを持って待機している。こっちは五十名程、全員特殊警棒のみだ。それとは別にゼッフル粒子の探知機を用意している。

「遅いぞ、アントン」
「さすが、憲兵隊だな、ギュンター」
俺の言葉にギュンターは軽く笑った。

「甘く見てもらっては困るな、全員此処まで靴下はだしで走ってきた。音を立てないようにな」
「驚いたね、俺達は近くまで地上車で来たよ、エーリッヒは?」
「もう直ぐ来る、こっちの準備が出来るまで待ってくれと頼んだんだ」

俺達が話していると五台の地上車が近付いて来て止まった。前方二台の車、後方二台のから装甲擲弾兵が、中央の車からエーリッヒがフィッツシモンズ大佐、そして装甲擲弾兵総監リューネブルク大将と共に降りてきた。

「皆、揃っているようだ」
エーリッヒの言葉に皆が頷いた。
「エーリッヒ、屋敷の中に入るのか」
「招待されてるからね」
エーリッヒは俺の言葉に仕方ないといったように肩を竦めた。

皆が顔を見合わせる。全員が不承知といった表情だ。
「最初に言っておくが止めても無駄だよ」
「……」
「ギュンターは周囲を固めてくれ、逃げ出すものは逮捕するんだ、決して殺してはいけない。アントンは中に入って使用人を調べてくれ、キュンメル男爵の協力者を探すんだ」

「協力者?」
エーリッヒの言葉にギュンターが訝しげな声を出した。エーリッヒがキュンメル男爵が病弱で動けないことを告げ、内部に協力者がいるはずだと話した。

「まだ、居ると思うか?」
俺の質問にエーリッヒは一瞬小首を傾げた。このあたりは士官学校時代と変わらんのだな。そう思うと修羅場にもかかわらず一瞬だが微笑ましくなった。

「分からない。しかしここ数日で居なくなった人間がいたら、その人物が協力者の可能性は高い。突きとめて必ず捕まえるんだ」
「分かった」

「それじゃ、私は行くよ」
エーリッヒはそう言うと屋敷の中に入っていった。その後を、フイッツシモンズ大佐とリューネブルク大将がそして装甲擲弾兵が数名続いていく。俺も捜査局の人間を連れて中に入った。

ギュンターが心配そうな顔をしていたが、あえて知らぬ振りをした。ゼッフル粒子が爆発したと
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