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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十二話 蠢動
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、そう考えた人間が、或いはそう考えて操った人間が居る。

帝国は今国内問題で手一杯だ。輸送船は帝国中で物資を大車輪で輸送している。正規艦隊は警備で手一杯だ。しばらくは戦争は出来ない。そして今フェザーン方面で戦争が起きれば、フェザーンからの交易船が帝国に来なくなる。たちまち物資不足が起きるだろう。確かに弱体化とまではいかなくても苦しい状況にはなる。

ただの戦争馬鹿に考え付く事じゃない。帝国に居るなら分かるだろうがそうでなければ簡単には分からない。少なくともフェザーン商人から帝国の状況を聞かなければ無理だ。しかし戦争馬鹿にそんな事ができるだろうか?

原作でも救国軍事会議はフェザーン人を拝金主義者と見下している。まして今の同盟はフェザーンを占領している。ますます傲慢になっているだろう、素直に耳を貸すとは思えない。

となると操ったのはルビンスキーか地球教か……。連中の前に亡命貴族を放り出したが食いつかなかったと言う事だな。連中は亡命貴族ではなく同盟軍に手を伸ばした。いやらしいところを突いて来る連中だ。うんざりする。


帝国暦 488年  8月 16日  オーディン  宇宙艦隊司令部 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ


リヒテンラーデ侯との通信を終えた後、ヴァレンシュタイン司令長官は一人静かに考え込んでいた。表情はあまり明るくない。どうやら心配事があるようだ。

今回の紛争では皆が司令長官の事を心配した。一つ間違えば捕虜交換が無くなる、司令長官の進退問題にもなりかねない。それなのに司令長官は平然とビッテンフェルト提督に敵との交戦を許可したのだから。

司令長官は大した事にはならないと判断していたらしい。結果として司令長官の判断は正しかったわけだけれど、どうにも心臓に悪い一日だった。そんな事を考えていると司令長官のTV電話が受信音を鳴らした。

司令長官が考え事を止めてTV電話に出る。スクリーンに現れたのはヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ伯爵令嬢だった。表情が青褪めている。司令長官の表情も厳しいものになった。良くない兆候だ、何があったのだろう……。




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