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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十八話 内乱終結後(その2)
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のは分かっておった。予があれらを破滅させたのじゃ」

フリードリヒ四世は寂しそうにバラを見ている。
「救う事など出来なかった。そんな事をすれば反ってあれを辱める事になるであろう。そうは思わぬか?」
俺は黙って頷いた。覇者ラインハルトにとっては死を賜るよりも皇帝の命によって死から救われる事のほうが屈辱だろう。彼らは今取調べを受けている、裁判は何時頃になるのか……。

「そちは振り返るな、振り返ってはならぬ」
「陛下……」
フリードリヒ四世が俺を見た。寂しそうな表情、そして優しそうな瞳。切なくなるような気持になった。皇帝は悲しんでいる、それでも俺を励まし背を押してくれる。思わず視線を伏せた。

「面を上げよ、ヴァレンシュタイン。そちが切り捨てたものは本来なら予が切り捨てるべきものだったのじゃ。そちは予に代わってそれを切り捨てたまでのこと。そちが気にする事ではない。そちはただ前を歩け」
「しかし、それでは」

「良いのじゃ。新しい帝国を創る、そちはその事だけを考えよ。それこそが我が望み……、忘れるな」
「……はっ」
しばらくの間お互い喋らなかった。ただ黙ってバラを見ていた。美しく華やかに咲く黄色いバラを……。


フリードリヒ四世が口を開いたのは十分程経ってからだった。
「そち、結婚せぬか」
「はあ?」
いきなり何を言い出すんだ、この老人……。フリードリヒ四世の顔には先程までの寂しそうな表情は無い、何処か面白がっているような色がある。

「軍中央病院がそちの事を心配しておるそうじゃ」
「心配ですか?」
俺の言葉にフリードリヒ四世は嬉しそうに頷いた。よく分からんな、結婚と病院? どう繋がるんだ?

「そちの健康管理は万全かとな」
「……健康管理」
「そちは無理をするからの、傍でそちを見張る人間が必要という事じゃ」
頼む、そう嬉しそうな顔をするな、何処かの爺様と同じ表情をしているぞ。

「しかし、だからと言って結婚ですか」
「そうじゃ、どの道結婚は避けられぬからの」
「?」

俺は不審そうな顔をしたのだろう。皇帝フリードリヒ四世は俺を見て笑い出した。
「そちは自分の事になると鈍いの。今のそちは帝国きっての実力者なのじゃぞ。生き残った貴族達が自分の家を守るために何を考えるか……、分かるじゃろう?」

なるほど、俺に娘を押し付けて生き残りを図るか、クズみたいな連中だな。俺は顔を顰めていたのだろう、フリードリヒ四世は俺を見てもう一度笑った。
「貴族が生き残りをかけるなら臣ではなく陛下の下に薦めてくるのではありませんか?」

俺の言葉にフリードリヒ四世は重々しく頷いた。
「その通りよ、いささか面倒での。そちに一人遣わそうと思うのじゃ」
「臣は平民です、貴族である事を鼻にかけるような女性は御
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