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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
58部分:第六話 恐怖軍団その九

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第六話 恐怖軍団その九

「それが四つだ」
「あの者達だな」
 それが誰であるのか、老人にもわかるようだった。シオンの言葉に頷くのがその証拠だった。
「必ず出て来るだろうな」
「敵は狂闘士だけではない」
 シオンの言葉に憂いがそのまま篭る。
「だからこそ。我々は」
「あの者達を信じるのだ」
 だが老人は憂いを含ませたシオンに対して言ってきた。
「信じるのか」
「そうだ。信じきれるな」
「無論だ」
 今度のシオンの言葉には憂いがなかった。曇りもまた。
「あの者達を信じずして誰を信じるというのだ」
「答えはそこだ」
 老人はシオンの今の言葉を指摘した。
「かつて共に戦ってきた彼等だからこそな」
「それを知っているのは我等だけか」
「いや、シャカもひょっとしたら」
「シャカもか」
「あの男には特別な任務を与えているようだな」
 老人は今度はシャカについて尋ねてきた。
「どうなのだ、それは」
「シャカでなければできぬことがある」
 シオンもまたそれを認める。
「神に最も近い男でなければな」
「やはりそれがあるか」
「ある。あの男にはこの聖域の護りを任せる」
「シャカに」
「あの男ならば問題はない」
 彼のシャカに対する信頼は絶大なものがあった。それは老人をしても目を見張らせるものがあった。
「かつて。冥闘士達の魂を封じ込める数珠を作った程の男だからな」
「己の命を引き換えにな」
「あの時彼等はそれぞれ己の全てをかけて戦った」
「そして散った」
 話は再びそこに至る。
「彼等ならばか。やはりな」
「そうだ、そういうことだ」
「わかった。ではデスマスクと」
「サガか」
「二人に全て任せる」
 彼はここに至り遂に全てを決断した。
「今後もだ。彼等に任せる」
「その魂を見てだな」
「そうだ。信じられる」
 言葉が断言になっていた。
「あの時から。彼等は彼等なのだからな」
「失いたくはないな」
「今度は失わせぬ」
 シオンの言葉が強いものになった。
「何があろうとも」
「最後は太陽になろうとも今はか」
「それが運命ならば致し方ない。しかし今は」
「だからこそ信じるのだな」
「その通りだ」
 二人は鏡の間で言葉を交わせていた。デスマスクのライプチヒでの戦いはまずは最初の前哨戦が終わったところだった。しかしカナンが姿を現わした今それが決戦になるのは明らかだった。その決戦の時が迫ろうとしていたのだった。


第六話   完


                   2008・5・8

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