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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十五話 決戦、ガイエスブルク(その5)
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えまい。ガイエスブルク要塞に篭っても無駄死にするだけだ。末路は悲惨だろう……。総司令官である卿が逃げてくれれば他の者も逃げ易い。要塞に戻るのはわしだけで良い。あそこには娘が待っているからな……。グライフス、頼む』

「……分かりました。これより戦場を離脱します」
『すまぬな、グライフス。卿には辛い仕事をさせる』
「何を言われます、最後に大役を頂けた事を感謝します」
公が柔らかく微笑んでいる。思わず涙がこぼれた……。



公から全軍に対して戦場を離脱せよと通知があった。私の艦隊が戦場を離脱する。ややあって皆がわたしの艦隊の後に続いた。ガイエスブルク要塞には公の艦隊だけが戻っていく。

おそらく皆が総司令官でありながら逃げた私を誹謗するだろう。だがこれでエリザベート様を、サビーネ様を守る事が出来る。“あそこには娘が待っているからな……。グライフス、頼む” 公のその言葉を思い出す。公、私は誇りを持って最後の仕事を行います。自然と公の艦隊に対して敬礼をしていた……。




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