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漢の生き様
第一章
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                漢の生き様
 第二次世界大戦後日本の多くの軍人達は極東軍事裁判の法廷で裁かれ多くの者が死刑になった、この裁判が事後立法に基づきしかも通常の戦争犯罪を人道に関する罪、平和に関する罪等で裁いたことについて今も様々な議論がある。
 そしてこの裁判において先程書いたが多くの者が死刑になり刑場の露と消えた、その多くの者の中に前田利貴という人物がいた。
 前田利家を祖とする前田家の分家筋であり男爵家の嫡男であった。学習院から法政大学に進み三井物産に入社した、乗馬ではオリンピック候補になり品性も確かな温和な人物であった。
 だが彼が収容された捕虜収容所を管轄しているオランダ軍は陰湿かつ残虐だった。
「何だあれは」
「あんなことまでするのは」
「酷過ぎるじゃないか」
 現地の者達は外で働く日本軍の捕虜達を見て眉を顰めさせた、彼等は日増しに殴られ打たれた傷が多くなり動きもふらふらとしたものになっていた。
 それを見てだ、彼等はわかったのだ。
「昔俺達にしていた以上の」
「とんでもないことをしてるな」
「あいつ等勝てなかったからな」
 他ならぬ日本軍にだ。
「追い出されたからな」
「それで戻って来たから」
「だからだな」
「日本軍を恨んでて」
「それであそこまでしてるか」
「タチの悪い奴等だ」
「全くだ」
 見ればオランダ軍の将兵達は外で働かされている日本軍の将兵を現場でも酷く殴り蹴り虐待を加えていた、それを行う彼等の顔は憎悪で歪んでいた。ティモール島クーハンの収容所での日本軍は極めて過酷な状況に置かれていた。
 そしてその中で裁判も行われていてだ、多くの者が実刑判決を受けていた。
 その裁判を受けてだ、日本軍の将兵達もわかっていた。
「結局事実なんかどうでもいいんだ」
「俺達を殺したいだけだ」
「裁判で貶めたいだけだ」
「その為の裁判だ」
 事実を無視した裁判だとわかっていたのだ。
「あいつ等は勝った方だからな」
「勝った方にいるからな」
「負けた方は裁かれるしかない」
「そうしたものだからな」
 よくある話だ、勝者が敗者を裁く。その現実を知っていればだった。
 このことがわかっていてだ、彼等はあらためて言い合った。
「なら胸を張って受けてやる」
「せめてもの意地でな」
「武士として死んでやる」
「大和魂を見せてやる」
 こうしたことを話してだ、そのうえで。
 彼等は命乞いをするどころか胸を張って死のうとしていた、裁判の判決を受けて。
 その捕虜収容所を管轄するオランダ軍が特に狙っていた者がいた、それは前田利貴大尉その人であった。
 彼を見てだ、オランダ軍の者達はただひたすら憎悪の炎を燃やした。
「華族、貴族の嫡男か」
「日本では名門の出という」
「オリン
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