暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第3章:再会、繋がる絆
第74話「足掻く」
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つも、それは躱される。

「“チェーンバインド”!」

 遠くの方で、ユーノの声がし、鎖状のバインドが暴走体へと迫る。
 ...が、それも躱され、反撃の砲撃魔法が繰り出される。

「ぐぅぅぅ....!」

 何とかユーノは防御魔法でそれを凌ぎきり、すぐさまそこを飛び退く。
 瞬間、その場所に椿にも放たれていた赤い短剣が突き刺さった。

「(ただ魔法が強いという訳じゃない...。この暴走体、戦闘技術が高い...!)」

「(僕が攻撃魔法に適正がないのを理解していて、危険性が高い椿ばかり攻撃している...。理性がないはずなのに、どうしてそこまで状況判断が上手いんだ...!?)」

 攻撃を躱しつつ、椿とユーノは同じことを考える。
 それほどまでに、闇の書を再現した暴走体は強いのだ。

「っ...優輝がすぐに倒せないのも納得ね...!」

「ブラッディーダガーとなのは達の魔法...相当厄介だ...よっ!」

 二人とも一度空中で背中合わせになり、小言を漏らしてすぐにそこから飛び退く。
 当然かの如く、寸前までいた場所に魔法陣が現れ、爆発を起こした。

「この...!」

 爆風により、飛べない椿はダメージはないものの、大きく吹き飛ばされる。
 その間にも霊力の矢を番え、暴走体に向けて放つ。

「っ、駄目ね...!」

 しかし、やはりそれは躱される。
 すぐさま椿はシュラインに自分のすぐ真上に魔力の足場を作らせ、それに手をついて地面へと一気に跳び、魔力弾を躱す。

「それに、空中は戦いづらいわね...!」

 葵とのユニゾンで空中戦に慣れた椿だが、飽くまでそれは“飛べた”からだ。
 飛べない状態では、やはり空中戦は戦いづらかった。

「っ、っと、はっ、くっ...!」

 ビルとビルの間を飛び回り、暴走体の魔力弾を避ける。
 ユーノもユーノで、空中で防御魔法を駆使しつつ何とか凌いでいた。

「っっ.....!!」

     ギィイイン!!

「椿!っ、くっ....!」

 しかし、攻撃は遠距離だけじゃない。
 暴走体直々にも、パイルスピアで攻撃してくる。
 それを椿は咄嗟に短刀で防ぐも、空中では踏ん張りが利かず、ビルに叩きつけられる。
 ユーノが助けに動こうとするが、魔力弾が襲い掛かり、その対処に追われる。

「このっ....!」

 蹴りを放ち、暴走体を引きはがした椿は、すぐにそこから動く。
 相手は暴走体でありながら卓越した戦闘技術の持ち主。立ち止まっていたらすぐに攻撃の餌食になってしまうと、理解しているからだ。

「(攻撃が当たらない!放つ隙もない!ユーノ曰くS級ロストロギアらしいけど...その再現とはいえ、強すぎるわね...!)」

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