暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
参った!と唸らせる魚。part2
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
番高い所が少し水面に出る位の高さがベスト。スーパー等で売っている物なら2時間〜半日、掘ってきた物なら半日〜一晩浸けておくとしっかりと砂を吐き出してくれる。

 砂抜きが終わったアサリとハマグリを、ザルに開けて米研ぎの要領でガシャガシャと洗っていく。こうして貝殻に付いた細かい汚れを落としてやる。次は鯵に飾り包丁を入れておく。斜めに三ヶ所程で良いだろう。ここに軽く塩を振ったら、フライパンにオリーブオイルを敷き、火を点けて軽く熱しておく。ニンニクをスライスした物と鯵を投入。ニンニクのスライスが面倒なら、包丁の腹を使って押し潰しても良い。元はイタリアの漁師メシ、意外と適当だ。

 鯵の表面に軽く焦げ目がつき、カリッとしてきたら裏返し、ここにアサリとハマグリを投入。そして白ワインを入れるんだが、スーパー等で売っているアサリ1パックに対して50ccだから、80〜100cc位かな。入れたら蓋をして3分程待つ。貝が開いてきたら水を300cc程一気に加える。このボコボコ言っている姿がイタリア語で狂った水……Acqua pazzaの名前の由来になった……という説もある。

 そしたらここにミニトマト。ヘタを取り、半分にカット。幾つかは味出しの為に軽く潰してもいいかもな。コレをオリーブオイル200ccと一緒に入れて、豪快に混ぜる。本格的な味にするなら、ここに黒オリーブやケッパーを入れるとかなりレストランに近い味になる。後は全体に馴染むように鍋を揺すりながら煮込み、塩胡椒で味を整えてパセリを散らす。この出来上がりの煮汁の色が、質の悪い密造ワイン、acqua pazzaだと言う説もあるが、本当の所は解らない。

「さぁ出来たぞ、『鯵と二種の貝のアクアパッツァ』だ。」

 瞬間に伸ばしてきた江風の手を、ヒョイとかわす。

「ちょ、ちょっと!?何すんのさ提督?」

「あのなぁ江風。俺だって美味しく食べて貰える奴に食わせたいの。つまんねぇ意地張って、美味しいって素直に言えないような奴には食わせたくないの。」

ぐぬぬ……、という悔しそうな顔をする江風。よっぽど食べたいのか、身体はぷるぷる震えてるし、唇もワナワナしている。

「……った。」

「あん?聞こえねぇぞ。」

「解ったよ!参った、参りました?提督の料理はプロ並みだよ。だから、早く食べたいからそれちょうだい!」

 勝った(悦)。全くもう、最初っからそうやって素直にしてりゃあ可愛いってのに。そう思いながら頭を撫でてやる。

「頭撫でんなー?子供扱いすんなー?」

ムキー!となりながらも食べる手は止めない。全く、本当の娘みたいに思えてくるからな、駆逐艦は可愛いなぁ。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ