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先恋
先恋〜さよなら〜
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沙奈はドキンとする。陸太が怖かった。二人の思い出が消えるのが、怖かった。
「…や、だよ……何も失いたく無いよ!」
陸太は背後から、沙奈を強く抱き締めた。

「…っ????」
「…瑞木さん…、瑞木さん、瑞木さん……」

陸太の力が強くなる。
「…りく……た…く…」
沙奈の体は、陸太を恐れていた事から、まだ、震えていた。陸太に抱き締められても、あの冷たい目が…頭から離れなかった。
「…離し………」
「…これで、最後です。」

陸太はそう言い、沙奈の前に座ると、何時もの優しい目でそっと微笑み、沙奈の唇に自らの唇をそっと、優しく重ねた。
「??り……んっ…」
沙奈の体がピクリと反応するも、沙奈自身、自分から陸太を抱き締めた。
「…好き、好き…っ????」
沙奈は陸太を強く、強く抱き締めた。
「…瑞木さ…」
「…好きなの…離れたく無い??大好き??大好きだからぁぁっ??」
沙奈は子供の様に泣きじゃくった。陸太が離れない様、強く抱き締めた。陸太も沙奈を抱き締めた………。




「…ぅ…ん…」
しばらくして、泣き止んだ沙奈は、陸太に背中を摩られているうちに、眠ってしまった。陸太は自分に言った。「お前は何処までも卑怯な奴だから、勝手に終わらせるんだ。」と。そして、自分のペンダントを外すと、それも、沙奈の首に掛けた。
「…さよなら、沙奈さん、」
最後に眠る沙奈にそっと口付けをし、陸太は立ち去った。






山道を下る。もう、会えない。会うことは許されない。だから、沙奈が思い出を手放したく無いのなら、自分だけでも手放してしまえ…、陸太は目を細める。


__この…………卑怯者……。




山道を下り、公園に出る。最後にキスなんてするもんじゃ無い。沙奈はきっと、起きたら目の前に陸太が居ると期待するだろう。一人にされたとしたら…どれだけ苦しむだろう?陸太は拳を強く握った。

「…何で…だよ………好きだったんだ…両思いだったんだ…………何が悪いんだよ……教師と生徒だからって、何が悪いんだよ…………何でだよ、何で……クソ…クソッ、クソッ!クソッ??」

陸太は自分の頭をガリガリと?きまわしなが
ら、泣いた。

「何でだよ??良いだろうが??何でだよ??」

認めたくなんか無かった。ただの教師と生徒になんて、戻りたくは無かった。

「うぅ…ああぁあぁァァアアっっ??????」

後悔は後悔のまま、残り続ける。陸太はそれを感じた。もし、卒業まで伝えていなければ…、我慢していれば、沙奈との未来も夢では無かったはずだ。我慢ができなかった自分は…まだまだ、子供だ____と。



「ん……」

沙奈は陸太がいると信じている事からの安心感で、心地よく、眠って
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