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提督はBarにいる。
やっぱりながもんだった。
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「んじゃ、取り敢えず呑んでみっか。」

 俺はワイングラス2つと赤と白、2種類のワインの瓶を取り出した。

「くずまきワイン、か。提督は確か岩手県出身だったな?」

「あぁ、とは言っても葛巻の出身じゃないぞ?もっと北の方の港町だ。」

 これだって、知り合いのツテで同県人のよしみで買ってくれと頼まれて買った物だ。別段、この銘柄が好きだと言う訳ではない。

「んじゃまずは、割りと飲みやすい白から行くか。」

 俺はグラスに白ワインを注ぎ、長門に手渡した。

「い、頂くぞ……。」

 長門が軽くグラスを傾ける。俺も合わせて口に含んだ。

「口当たり爽やかで、美味しいなコレは!!」

「んー、確かにな。俺はもっと白はこう、甘味の強いイメージがあったんだが。」

「これなら刺身とか生魚によく合いそうだ。」

 美味い美味い、と長門はゴクゴクと喉を鳴らして呑んでいる。そんなジュースみたいに呑まんでも……。

「さて、問題は赤だな……」

 個人的な意見だが、ワインは赤の方が苦手だと言う人が多い気がする。長門もそういうクチだろうか。

「ホレ、ワインはやっぱり赤のイメージが強いよな。」

「お、おぉう……。では、頂こう。」
   
 長門が口に含んだ。瞬間、見た事もないような渋面に長門がなった。顔が中心に向かってクシャッとなった感じ、と言えば伝わるだろうか?

「な、何だコレは?腐っている訳ではないのか!?」

「えー、コレでも赤にしては甘口だと思うがなぁ。」

 そこまで渋味と酸味は強く感じず、寧ろ甘味が引き立っているように感じる。

「こ、コレで甘口……。」

 長門が考えている事はただ一つ、『絶望』だろう。こんなに渋くて酸っぱいとはおもわなかった、といった表情だ。

「な、何故普通に食べればあんなに甘くて美味しいフルーツを、わざわざ渋くて酸っぱい飲み物にしてしまったのだ……?」

 まさにぐぬぬ、といった表情で長門がそう呟いた。確かに、このワインの渋味と酸味を敬遠して、飲みたがらない人も多い気がする。仕方ない、奥の手を出そう。



「なぁ、長門。そのワイン、お前でも飲めるようにして、且つ駆逐艦達にも気付かれなくする方法があるとしたら……やるか?」

「何!?そんな方法があるのか!?なら最初から……」

 そこまで言いかけて長門はハッと口を閉じた。そう、彼女は気付いたのだ。その方法を使えば、確かに長門の体面は保たれる。しかし、大好きな駆逐艦達に嘘をつく事に他ならない。己の体面か、真実を貫き通す信念か。長門にその決断は委ねよう。

「夢を壊さない為の……優しい嘘も、あるよな…?提督。」

「……そうか。なら、出してやろう。」

「なっ!?そ、そ
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