暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第四章 タルブでの戦い
青き少女の因縁
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―――――――――――――

 最初に“あの男”に出会ったのは、いつだっただろうか。確か初めて任務を終えて家に帰った時だった気がする。

『初めまして。シャルロットさん、でしたね。私は・・・まあ周りからは『先生』と呼ばれている者です。』

 白衣を着た金髪の男だった。本家からやって来たということで、私は警戒心をむき出しにしていた。だが、にこやかな表情で私の前に現れた“彼”が最初にしたことは、

『怪我をされたようですね。どうぞこちらに来て下さい。』

 傷の手当てだった。かなり慣れた手つきで消毒をし、包帯を丁寧に巻いていく。皆が言う『先生』とは、どうやらそういう意味のようだ。
 それから“彼”は、私が任務から帰るといつも家で待っており、毎回治療を行ってくれた。そしていつもそれが終わる度に、

『任務、お辛いでしょう。』

 そう言ってきた。それには本家の人たちのような嫌味や皮肉がなかった。

『私にはこれくらいしか出来ませんが、どうか負けないように頑張って下さい。』

 優しく、本心から労わるようにそう私に語り掛けてきた。私にはそれが少しでも救いになった。憎むべき本家の奴らの中にも、“彼”のような人物がいるのだと。表情には出さなかったが、正直嬉しさを感じていた。






 後に思い知らされた。


 “彼”こそ、本当に倒すべき者の一人だということを・・・。





「―――サ。タバサ!」
「!」

 自分を呼ぶ声にハッと我に返る。目の前に学院で唯一の親友がこちらを覗き込んでいた。どうやら馬車の揺れにつられて、ついうたた寝をしてしまったらしい。

「眠っちゃったの?疲れてたのね。」

 親友の明るい声にコクンと頷いて外の様子を眺める。懐かしい景色が見える限り、目的地が近いようだ。

「あ、タバサ!あれかしら、貴女のお家って!」

 言われて馬車の行く先を見てみると、

 見えた。


 懐かしく、

 
 とても大切な、


 そして今は忌々しくもある



 我が家が―――





 話は少し前まで遡る。
 架たちと竜の羽衣を探していた時、タバサは手紙にて実家に戻るよう言い渡されていた。授業の方ももうじき夏季休暇に入るということで問題はない。学院に戻り、手早く身支度して即出発するつもりだった。
 ただ一つ予定外だったのは、

「せっかくですもの。貴女が良ければ招待してくれないかしら。」

 キュルケもついて行くと言い出したことだった。元々怒り狂ったルイズから逃げるための口実だったのだが、理由を問いただしてみれば

「だって、男共も実家に帰るって言うし、何よりダーリンや貴女がいない学院なんている価値な
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