47部分:第四十六話
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第四十六話
第四十六話 そして三日後
三日後。呼ばれもしないのに博士が戻ってきた。
「完成じゃ!」
「左様ですか」
小田切君は達観した声を博士に送った。
「どうしたんじゃ、もっと驚かんか」
「三日の間に何があったと思います?」
小田切君はこう問うてきた。
「この三日の間に」
「わしの偉大な改造が行われていたのじゃ」
「違いますよ」
小田切君はそれを否定した。
「そんなのじゃないです」
「わしはそう思うが」
「三日あったんですよ」
小田切君はそれをまた言う。
「その間にですね、博士」
「うむ」
「研究所は警察と自衛隊に完全に占拠されましたよ」
「何じゃ、その程度か」
それを聞いても何も驚いてはいないのが凄い。
「大したことはないわい」
「もう僕達警察に保護されていますんで」
「それがどうしたのじゃ」
「どうしたのじゃって」
博士のあまりもの余裕に言葉がない。
「あのですね、博士」
「こりゃ駄目だね」
「また逮捕かな」
小田切君の足元でタロとライゾウが話している。そこへあの美女がやって来た。
「お久し振りです、博士」
あの美人署長がにこりと微笑みながらやって来た。見れば警察の署長なのに陸上自衛隊の戦闘服に身を包んでいる。どうやら自衛官として来たらしい。
「今日はお疲れ様です」
「そうじゃな」
博士は彼女に応える。
「今から貴方を連行させて頂きますので」
「それじゃあ博士」
「君はどうなるのじゃ?」
小田切君に尋ねる。
「ですから僕達はもう保護されましたので」
「ああ、そうじゃったな」
「そういうことです。そして貴方の研究ですが」
署長はまた博士に言う。既に周囲を武装した警官と自衛官が取り囲んでいる。
「自衛隊で没収して封印させてもらいます」
「使おうとは思わんのか?」
「いえ」
だが署長はその言葉には首を横に振ってきた。
「自衛隊はあまりにも危険な兵器は持たない方針ですので」
「詰まらんのう」
博士はそれを聞いて大きく溜息をついてきた。
「わしのこの手で自衛隊を世界最強の軍隊にしてやるというのに」
「そういう発想こそ今は最も忌むべきものなのです」
「ああ、わかった」
自衛隊に対して諦めきった声であった。
「わかったから」
「では御一緒に」
「わしの改造したモンスター達、とくと見よ」
「やっぱりこうなったね」
「ああ」
タロとライゾウはまた囁き合う。ニヤリと笑う博士から不気味なオーラが漂う。小田切君はそれを見てまた嘆息するのであった。
第四十六話 完
2006・12・26
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