暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#22
METEOR STORM 〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE?〜
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【1】

『フラトンシンガポール・SPW』 一階。
 ホテルのシンボルである巨大なマーライオンの吐き出す水は、
山吹色の陽炎の中凍ったように静止し頭上から降り注ぐ人工の滝も
同様に動きを止めている。
 破壊の限りを尽くされた上階の惨状とは打って変わり、
開けたエントランスは静謐そのもの。
 時刻は(封絶発動時)9時を大きく回っていたので
受付と接客係以外に殆ど人気は見られない。
 何もかもが因果の流れより孤立し、マネキンのように佇む人々。
 そんな中、当然のように呼吸し忙しなくスマホのボタンを弄くっていた
少女が電源を切り、手の平の中でくるりと回す。
 消灯したスマホは、これまた当然のように彼女の手から音もなく消えた。
「……そろそろ、かな?」
 キャンディやチョコチップの類がカラフルに鏤められたクリスタルテーブル、
その前に座っていた眼鏡の少女がようやく重い腰をソファーから浮かせた。
 吹き抜けの先にある、優美なガラス天蓋に走る閃光。
 乱れなく切り取られた七色の破片と共に二つの影、
正確には三つの存在が銀色の燐光を煌めかせて舞い降りた。
「……」
 ホテルのシンボルを囲う御影石の噴水縁に降り立つ精悍な青年と、
研ぎ澄まされたサーベルを構える白銀の騎士。
 その本体の鍛え抜かれた両腕には、手足と片目に包帯の巻かれた淑女が
(所謂お姫様抱っこの形で)無表情にムッとするという
複雑な顔つきで乗せられている。
「よっ、と」
 軽快な声と身のこなしで噴水の縁から飛び降りた青年は、
そのまま不敵な視線で対峙する眼鏡の少女、
アイリス・ウィンスレットの瞳を見つめた。
“ラスト・ステージへようこそ” 
 これから始まる戦闘(たたかい)への高揚を諫め、
二人を称える言葉を告げようとした艶めく口唇が、
「いつまで、こうしてるつもりでありますか!? 
もう着いたのであります! 早くおろすのでありますッ!」
開きかけて止まった。
 その風貌と雰囲気からは意外に、
青年に抱かれた淑女が駄々をこねる幼子のように
細い手足をバタつかせていた。
「いやぁ〜、だってまだ敵のスタンド能力も解ってねぇ状態だしよぉ〜。
怪我してんのは一目瞭然だし、もう少しこのままの方が」
「それは私が立っていても同じでありましょう!
一度 「昇って」 吹き抜けの真上から降下するのには同意しましたが、
不逞な振る舞いは認めないのであります!」
割腹(かっぷく)無介錯(むかいしゃく)
 中間からやや外れた距離で、雰囲気とは対照的な言葉が行き交う。
 会話の内容から、慎重性と合理性に即した選択を取ったようだが、
もう能力(スタンド)の “縛りプレイ” も飽きていたので
アイリスは別段何も感じなか
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