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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百話 辺境星域回復
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れまで怯えてきたのかもしれない。

私自身サビーネが男だったらと思わないでもなかった。この娘はそれを感じとり、ずっと一人で怯えてきたのか……。私は一体何をしてきたのか、それもこの期に及んで娘に気付かされるとは、それでもお前は父親か、ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム三世よ!

少し腰をかがめ、娘と同じ眼線になった。サビーネは怯えたように私を見ている。
「良く聞きなさい、サビーネ」
「……」

「お前が男だったらと思った事が一度も無いとは言わない。だがお前が娘だからと言って私は疎んじた事は無い、クリスティーネもお前を疎んじた事などないはずだ。それともお前は私達に愛されなかったと思っているのかな?」
「そんな事は……」
首を振ってサビーネが否定した。

「そうか……、安心したよ……。サビーネ、胸を張りなさい。お前は私の大切な娘だ、お前を愛している。その事を良く憶えておきなさい、いいね」
「はい」

「今回の内乱は皇位継承とは全く関係が無いのだ。これは帝国の未来をどうするかが原因で起きた内乱だ……。ああ、お前には少し難しいかな。だがお前が男でもこの内乱は起きただろう。だからお前が娘として生まれて来たこととは全く関係が無いのだ」
「……」

「幸せになりなさい。私はお前が幸せになる事だけを願っている」
「お父様……」
「いい子だ、私の自慢の娘だ。さあ手紙を」

手紙を受け取るとサビーネが泣きながら抱きついてきた。サビーネ、お前が幸せになる事だけを願っている、嘘ではない。だが出来る事なら私の手で幸せにしてやりたかった。残念だが私にはその時間はなさそうだ、それだけが心残りだ……。




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