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テキはトモダチ
11. あなたと空を駆け抜けたくて(後) 〜赤城〜
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て大海原を駆け抜ける。夕日に照らされた相棒たちの姿と夕焼けの海は、私が知っている世界と……私が相棒に見せたかった世界と同じぐらい美しい世界だった。

「……ハハ」
「赤城さん? どうしたのです?」
「私は、子鬼さんに私の世界を見せたくてがんばりました。でも……」
「?」

 実際は逆だったのかもしれない。私は、子鬼さんと妖精さんが見せてくれるこの美しい世界を見たくて……二人に連れてきて欲しくて、こんなにがんばったのかもしれない。

「子鬼さん、妖精さん……ありがとう。お二人の世界は、私と鳳翔さんが見ている世界と、同じぐらいに美しい世界ですね」

 感謝が口をついて出た。二人共ありがとう。あなたたちのおかげで、私はこの美しい世界を見ることが出来ました。本当にありがとう。

……

…………

………………

 その後のことはよく覚えていない。繰り返し矢を放ち続けた私は、思っている以上に疲労が蓄積していたみたいだ。そのまま晩ご飯を食べたかどうかもよく覚えてらず……気がついた時、私は自分の部屋で子鬼さんと妖精さんの3人で、折り重なるように眠っていた。

「……ん」
「クカー……」
「……zzZZZZZ」

 鳴り出しそうなほどにお腹が空いて目が覚める。鳴らないように気をつけながら上体を起こそうとしたが……

「……重い」

 私の胸の上には妖精さんが、お腹には子鬼さんが乗っかって眠っていた。上体を起こすのを諦め、私は再度寝転がる。部屋を見回すと、カーテンの隙間から朝日が差しているのが分かった。

 私の身体の上で仲良く眠っている二人の一航戦を見た。二人は手を繋いだまま、気持ちよさそうに寝息を立てていた。昨日は二人共あれだけがんばったのだ。今日はまだ一航戦の3人で仲良く眠ろう。朝ごはんはその後でいい。

「作戦は大成功ですね」

 私は再び目を閉じた。閉じた瞼に写った光景は、昨日二人が見せてくれた美しい世界だった。そしてその世界にいたのは、二人に新たな世界を見せることが出来た私と、私を美しい世界に連れて行ってくれた、大空を駆け抜ける妖精さんと子鬼さんだった。


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