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天本博士の怪奇な生活
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第十八話

                第十八話  地獄への道
「出発じゃ!」
 博士はカイザージョーの肩の上で腕を組み意気揚々としている。それとは正反対に小田切君は沈んだ顔をしている。
「あの、博士本気ですよね」
「わしは何時でも本気じゃ」
「じゃあいいです」
 自分の運命を受け入れることにした。
「ところで何処通って帰るつもりですか?」
「一直線じゃ」
「その間の国は?」
「突っ切る」
「領海とか領空とかはどうするんですか?」
「知らんな」
 実にシンプルな返事であった。
「攻撃されたらどうするんですか?」
「安心せい、このカイザージョーはウル○ラマ○が相手でも戦えるぞ」
「さよですか」
「何ならバ○○の塔にも攻め込もうか?そしてそこにいる超能力少年と」
「いえ、そんなのいいですから」
 本当にしかねないのでそれを止める。
「とにかく日本にですか」
「うむ、ではな」
 カイザージョーが動きはじめる。すぐに全速力で空を飛びはじめる。博士はその中でもじっと空を見据えている。
「目の前に広がる青い空、その下には紺碧の海」
 博士は言う。
「素晴らしいな、小田切君」
「そんなことよく今言えますね」
 小田切君はカイザージョーの中に潜り込んでいた。具体的には首の中に入り込んでそこで何とかしがみついていたのであった。そうでもしないと超音速で飛ぶカイザージョーの中ではどうしようもなかった。
「それに博士大丈夫なんですか?」
「何がじゃ?」
「コクピットも何もないのに」
「安心せい、この服には空間障壁があるのじゃ」
「空間障壁!?」
「簡単に言うと周りにバリアーを築くのじゃ。だから気温も風圧も平気なのじゃ」
「そうだったんですか」
「この靴もな。カイザージョーに貼り付くようになっておる」
「はあ」
「君の白衣と靴もじゃぞ」
「えっ!?」
 急にそう言われて思わず声をあげる。
「それじゃあ」
「うむ、外に出ても平気じゃ」
 博士は言う。
「安心するがいい」
「何だ、そうだったんですか」
 言われてびっくりというやつである。どうして博士が平気な顔をしているのかやっとわかった。
「じゃあもうコクピットの中にいるのと同じですね」
「左様」
「それを聞いて安心しましたよ。それじゃあ」
「じゃがな」
「はい」
「攻撃を受けたら覚悟しておくのじゃよ」
「・・・・・・・・・」
 小田切君は結局覚悟を決めることになった。丁度その時に目の前と眼下に迎撃に出た戦闘機や軍艦が姿を現わしてきたのであった。


第十八話   完


                 2006・9・16



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