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テキはトモダチ
10. あなたと空を駆け抜けたくて(前) 〜赤城〜
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「怖くはないですねぇ……」

 子鬼さんにも伝播してしまった天龍さんの『怖いか?』にいささかの戸惑いを感じつつ、私は子鬼さんと共に食堂に足を運ぶことにした。矢を射るときに感じた朝食の香りからすると、そろそろ食堂に行けば食事にありつけるはずだ。誰かがもう食べているかも知れない。

「一緒に朝ごはん行きましょうか。肩に乗りますか?」
「キヤァアアアアア」
「近くで見るとやっぱり少しキモいですね」
「ガーン……」

 集積地さんがこの鎮守府に来てからもう3週間ほど経過する。今ではこの鎮守府のみんなとも打ち解け、資材貯蔵庫の主として認識されているようだ。私もあれから少しずつ集積地さんとも会話をするようになっている。

 集積地さんも当初来た時のような刺々しい雰囲気が薄れ、今では電さんや天龍さん、大淀さんといった中枢メンバーともとても仲良くやっているようだ。

「おはようございます」
「キャァァアアア!」

 食堂に入り、まずは挨拶。肩に乗っている子鬼さんも私に負けじと挨拶をしている。子鬼さんたちは、ホント顔さえどうにかなればマスコット要員として妖精さんたちに匹敵するかわいさだと思うのだが……この鮫のような顔つきと、口のところだけ人間の歯と歯茎がむき出しになっているのが本当にもったいない……

「赤城〜。子鬼もおはようだクマ〜」
「ぁあ球磨さん。お早いですね。おはようございます」
「赤城と子鬼も一緒に朝ごはん食べるクマっ」
「はい」

 すでにテーブルに着席していた球磨さんに声をかけられ、私と子鬼さんは彼女と相席することにした。ご飯とお味噌汁をよそってカウンターでおかずを受け取り、それらをお盆に乗せる。

「子鬼さんはいいんですか?」
「キヤァアアアア」

 何を言っているのかよく分からないが、子鬼さんの分は特にいらないようだ。ならば途中で食べたくなれば私のご飯を横からつまめばいいだろう。お盆を持って、球磨さんの待つ窓際のテーブルへと向かう。

「おまたせしましたー」
「相変わらず良く食べるクマね」

 開口一番、球磨さんがそんな失礼な事をいう。確かにご飯をお茶碗いっぱいに盛っているけど、そんなに多いとは思わないが……

「昔話盛りって聞いたことあるクマ?」
「いえ? ありませんが……」
「なら別にいいクマ」

 あとで提督に聞いたのだが、『昔話盛り』というのはご飯の盛り方の一つなのだそうだ。なんでもどんぶりにご飯をてんこ盛りにする盛り方なのだとか。なんだ。いつもの私じゃないか。

「では……いただきます」

 両手をパシンと合わせた後、朝のお味噌汁を堪能する。やはり朝一番のお味噌汁は格別だ。今日は朝稽古をしていつもよりお腹が空いているせいか、お味噌汁の味がいつもより美味しく感
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