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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
最終話 別れと幕開け
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な微笑を浮かべる、彼の視線は。艦娘達の中の、ただ一人へ。

 ――比叡ただ一人へ、向けられていた。

「……っ!」

 交わる視線。高鳴る動悸。目尻に浮かぶ、感情の雫。
 耐え切れない激情の奔流は、彼女を桟橋の端まで突き動かしていく。そんな妹の背中を、長女は満足げに見送っていた。

「ばかっ! ……好きっ!」

 海上を走り去る、アメノカガミノフネ。その車を駆るサダトに、その叫びが届いたのかはわからない。
 だが、少なくともこの青空には、彼女の告白が轟いている。その後ろでは、艦娘達が暫しあっけに取られた表情で固まり――やがて皆一様に、微笑ましげな面持ちに変わって行くのだった。

 頬を濡らす彼女が、真っ直ぐに見つめる向こう。赤い車が、海原の彼方に消えていく。
 自分達が勝利を刻んだ、水平線の向こうへ。

 比叡はただ、それを見つめていた。アメノカガミノフネも、次元の亀裂すらも消え去り、眼前の景色が日常の海に戻るまで。

 他の艦娘達が踵を返し、解散しても。その時までずっと、見つめ続けていた。

 そして、全てが元通りになった――その時。
 彼女の傍らには、妹を見守り続けていた金剛だけが立っていた。

「……比叡」
「……はい」
「帰るネー。……私達の、生きるべき世界に」

 肩に手を乗せ、諭すように語る彼女は。踵を返すと、いつものような豪快な笑顔で比叡の「帰還」を出迎える。

 南雲サダトが自分の世界に帰ったように。自分達もまた、自分達の世界に帰らねばならない。守るべき、平和のために。

 ――次元を越えて旅立った彼も、そうしているはずだから。

「……はいっ!」

 そうしていれば、例え世界が違っていても……どこかで、彼と繋がっていられる。そう、心の奥底で思ったのかも知れない。

 比叡は涙を拭い去り、いつものように元気に溢れた笑顔を浮かべて。その拳を、強く握り締めた。

 もう、後ろは向かない。これは、前進への一歩だ。

「――これが、最後です。これからは! 恋も戦いも、負けませんっ!」

 ◆

 ――194X年X月XX日。
 鎮守府執務室前。

「はぁ〜……緊張するなぁ……」

 晴れやかな空。澄み渡る海。艦娘達が守り抜いて来たその景観を知る、一人の少女がこの鎮守府に訪れていた。
 やや垢抜けない面持ちではあるものの、意思の強い眼差しや、華奢な身に隠されたしなやかな筋肉には、戦士としての優れた素養が見え隠れしている。
 アグレッサー事件の際、鎮守府を離れていた提督が上層部に配備を要請していた特型駆逐艦。それが、彼女なのだ。

「……よ、よし、行くよっ。……し、失礼しますっ!」

 経験の浅さゆえ、緊張が拭えず上ずった声を出してしまう少女。
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