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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#19
MILLENNIUM QUEENV 〜Last Judgement〜
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焚刑(ふんけい)



 西エリア、市街地よりやや離れた路上。
「ハ、ハハ、これ、夢ですか? 
幾らなんでもメチャクチャです。
あ、あれ? アハハ、腰が抜けちゃって、立てません」



 全面に華美な装飾を施された荘厳な甲冑に街路を暗闇に染める外套。
 倔強なる腕に握られた剛刃に絶対的な栄華を魅せつける玉冠。
 ソレらを身に纏う者の風貌は、正に夥しい戦場を潜り抜け、
その混沌を呑み込んできた者にしか得られない英姿。
 しかしやはり、その存在の絶対性を極めつけるのは
視界に留まらないほどの圧倒的な巨大さ。
 その全長から比すれば、周囲の高層ビル群など積み木細工のソレでしかない。
 手にした剣を掲げれば上空の封絶を突き破り、
纏った外套を翻せば遠間の海面すら激しく波打つ。
 最早能力(チカラ)技術(ワザ)の通じる次元ではない、
香港で顕現した “蹂躙の爪牙” アノ蒼き魔狼を5体(つど)わせてもまだ余る。
「――ッッ!!」
 その極大をも超えた存在の胸元で、
眼を凝らさねば見えない程の小さな点で、
法紋の浮かび上がった触手に磔られたオルゴンが
嘆きの声をあげる事も出来ず呻いた。
 顕れている存在の桁違いの大きさから、
ただそこに居るだけで並の徒なら
一瞬で消滅してしまうほどの力が喰われる。
 それでも維持を可能としているのは、
吸血鬼化したオルゴンの躯とソレを “操る者” の技量が
並外れているというコトに他ならない。
『フム、概ね、巧くいったようですね。
私ならばあと2体ほど召喚して布陣を改める所ですが、
まぁ良しとしましょう』
 頭蓋の奥で、此処に存在しない者の声が無機質に響く。
 今こうしている間にも、許容以上の力が無理矢理引き絞られ
発狂する程の痛みが全身を劈くが、
一体化した触手が崩れた箇所を再生してしまうので消滅する事も出来ない。
 死ぬ事ではない、 “死ねないコト” がここまで怖ろしいとは、
このような惨状になっても痛覚(しょうき)保っている己自身を
オルゴンはただ呪うしかなかった。
『エクスカリバー』
 冷冽な声が響くと同時に、超巨大な騎士の王
“アーサー” が手にした剛刃を無造作に揮り廻した。
 ただそれだけで、災厄のような暴風が封絶全体に吹き荒れ木々をへし折り
建物を崩壊させ人々を瓦礫の乱流に巻き込みながら大地と海を割る。
 その威力もさることながら、たった一太刀揮っただけで
オルゴンの躯が半分以上崩れる。
 しかし即座に枝分かれした触手が損壊箇所(キズアト)に潜り込み、
ものの数秒で再生させてしまう。
 嘗て、この世界スベテの究極点へ到達しようと目論んだ、
魔神の生み出せし恐怖。
 吸血鬼化した者は、太陽の光(波紋)以
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