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テキはトモダチ
8. 夜の密会 〜電〜
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妙にゲンナリした表情で残念そうにため息をついていた。私と同じ想像をして、同じ結論を導き出したに違いない。

「でもホント……どうして集積地さんなんでしょうか……」

 大淀さんがポツリとつぶやき、疑問がまた振り出しに戻る。私と大淀さんは、ジャージを着る前の集積地さんの全身を思い出した後……

「「……」」

 自然と自分の胸に視線を落として……

「「はぁ〜……」」

 と再び2人そろって盛大なため息をついた。明日から牛乳飲む量増やそうかなぁ……

「いや電さんはこれからですよ……私なんて……フッ……」

 なんだか目に見えて大淀さんが元気を無くしてやさぐれ始めた。司令官さんに申し訳ない気がする……でも司令官さんと集積地さんの二人の関係、すごく気になる。

「……ちょっと探ってみましょっか」

 この大淀さんのポツリとしたつぶやきを、私は聞き逃さなかった。

「探ってみるって、どうするのです?」
「ええ。幸いにもこの鎮守府には一人、隠密行動に長けた艦娘がいます。彼女に協力を仰ぎましょう」

 そういえば……一人いた。常日頃スクープを追い求め、物陰や天井裏から私たちを観察している、この鎮守府きっての名ジャーナリストが……!!

――恐縮ですっ!!

「あ、青葉さんは今、どこにいるのです!?」
「今は赤城さんや天龍さんたちと演習中ですね。少なくとも夜には時間を作ってくれると思いますよ」
「電たちの力になってくれるでしょうか……」
「あの青葉さんが、提督と集積地さんのスキャンダラスなネタを前に、黙っていられると思いますか?」
「んー……」

 なぜだろう。資材貯蔵庫から身体を寄せあって出てくる司令官さんと集積地さんに向かって、100万ドルの笑顔でマイクとカメラを向けてる青葉さんしか想像出来ない。『ども! きょーしゅくです! 今のお気持ちは!?』『いつからこのようなご関係なんですか? ケッコンされるんですか? どちらからのお誘いですか? 一言お願いします!!』と二人にインタビューを迫る青葉さんは、想像するだけで煩わしそうだ……。

 でもここで引き下がるわけには行かない。事は(あくまで大淀さん的には)重大だ。私の友達である集積地さんが司令官さんに理不尽な行いを強要されているのだとしたら、私は、同じ鎮守府の仲間として……友達として、司令官さんの暴挙を止めなければならない。

 それには、まずは事の次第をしっかりと確認することだ。そしてそれには、青葉さんの協力が必要だ。

「大淀さん」
「……ええ(キラーン)」
「やりましょう!」「やるのです!」

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