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恋姫†袁紹♂伝
第50話
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「初日は、何とか持ち堪えたわね」

「はい、この雨こそ魏国の天運でしょう」

 魏陣営の天幕内、その中で華琳と郭嘉が、現状と今後の展望について話し合っていた。

「陽軍の様子は?」

「陣に引いた後は特に動きを見せません、月明かりも無いので視認は不可能ですが、
 この雨天の中、行動をとる可能性は限りなく低いでしょう」

「低いだけで、無いわけではないのね」

「はい、でのすで橋を重点的に警戒させています。
 一番怖いのは大炎での夜襲ですが、あの仕掛けさえあれば……」

「大炎の足を止め、予めそこへ座標を設定してあった投石機が猛威を振るう」

「その通りです」

「相手は今までに無い強敵、警戒しておいて損は無いわ。
 他も抜かりは無いでしょうね」

「無論」

 辺りを模した地形図、その岸辺に兵士駒を置く。

「大橋を使わず河を越えてくる“万が一”に備え、岸に見張りを配置させました。
 異常があれば知らせが届き、待機させている常備兵三千が出向きます」







 同日同時刻。郭嘉により岸辺に配置されていた見張りは、既に物言えぬ姿に成り果てていた。

「この悪天候の中じゃ、見張りも形無しだな」

「無駄口を叩くな、行くぞ」

 見張りを片付けたのは華雄兵だ。船から先行した数人が、周囲を注意深く探っている。

 見張り達が彼らを察知できなかったのは、暗闇と豪雨による視界不良以上に、油断していた面が大きいだろう。
 無理も無い。岸辺に配置された彼らの目に映ったのは、一寸先さえ視認できない暗闇と、激しい豪雨、増水により激流の化した大河だけだ。
 そんな中を船で、ましてや泳いで来る者が居るなど、夢にも思わなかっただろう。
 故に、見張りは貧乏くじを引かされた自分達を少しでも労おうと、暖を取るための火をつけた。

 華雄達は遠目でその灯りを確認、見張りの存在を確信し、泳ぎが得意な者達を先行させたのだ。

 華琳や郭嘉の危惧は。
 初戦の奇跡、疲れ、安堵といった様々なものが絡まり、末端の兵士まで届く事は無かった……。

「報告しろ」

「ハッ! 周辺に敵兵の姿はありません、隊を陸に移す好機かと」

「うむ、そっちは?」

「魏陣へと続く道に見張りが数名。ここに居た連中と同様、暖をとって油断しきってます」

「上々だ。手筈通り行くぞ!」

『ハッ!』








「お前、岸辺の見張りはどうした? 何故ここに居る!」

「あ、相方が足を滑らせて河に落ちたんだ。手を貸してくれ!」

「おいおい、急がないとまずいんじゃ……」

「チッ、わかった。さっさと案内しろ」

「いやぁ、案内せずとも――遭えるぜ」

「何
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