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けらけら女
第二章

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「そこからでありんすな」
「そこをはっきりさせてだね」
「何をどうするか決めていくべきかと」
「そうだね、じゃあ何か考えがあるかい?」
「実は知り合いに面白いお侍様がいるでありんす」
「面白い?」
「仙台藩の方でありんすが」
 この藩の者だというのだ、東北随一の藩だ。
「林子平殿という方で」
「そのお侍様がでありんすか」
「実はかなりの博識な方で」
「その方ならでありんすか」
「何とかして頂けるのでは」
「では、でありんす」
 平太夫はその話を聞いて答えた。
「すぐに林殿を呼ぶでありんす」
「何でも中々の女好きで」
「吉原にもありんすか」
「よく来られているので」
「ではすぐに呼べるでありんすな」
「すぐに声をかけますか」
「思ったらすぐにでありんす」 
 これが平太夫の返事だった。
「そのお侍様をお呼びするでありんすよ」
「では」
 こうしてだった、平太夫はその林子平という侍を呼ぶことにした、髭は剃っているが顔の下半分が黒々としている二本差しの武士が来た。
 その武士がだ、平太夫に名乗った。
「呼ばれて参った」
「林子平様ですか」
「うむ」
 その通りとだ、林は平太夫に答えた。
「番頭から話を聞いた」
「はい、実はです」
「その女のことならわかった」
「話を聞いてですか」
「すぐにな」
 まさにその時にというのだ。
「わかった」
「左様ですか」
「うむ、何故出るかもな」
 ここでだ、林は今自分達がいる店の入口の左右を見た。そのうえで平太夫に対して言ったのだった。
「それもな」
「それは何故でしょうか」
「まずは女を見る」
 林は平太夫にそれからだと話した。
「それからだ」
「女をでありんすか」
「左様」
 その通りという返事だった。
「それからだ」
「では」
「親父、店に入る」
 林は平太夫に言った。
「そしてまずはな」
「まずは?」
「楽しませてもらう」
 こう言うのだった。
「そうしていいな」
「楽しむといいますと」
「吉原だぞ」
 林はそこから言った。
「そしてわしは女房はおらぬがな」
「おなごはでありんすか」
「好きだ」
 にやりと笑っての言葉だ。
「だからな」
「そういうことですか」
「金は払う」
 そこは安心しろというのだ。
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