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第十一話

                  第十一話   その曲は
 とにかく歌う曲をどうするか。だが二人はどうしてもそれが決められなかった。
「これも駄目よねえ」
「これも」
 二人はそれぞれ曲を選ぶが選ぶ側から自分で駄目出ししていく。結果全然進んでいないのだ。
「どうしようかしら」
「そうよね」
 華奈子も美奈子も真剣に悩んでいる。どれにすべきか本当に決められなかった。
「オリジナルじゃねえ」
「それも無理だから」
「もうわかってるわよ、それは」
 華奈子は言葉を返す。
「だから悩んでるのよ」
「どんな曲選んでるの?」
「ポップス」
 華奈子は答えた。
「何かいいのない?」
「ポップスね」
 美奈子はそれを聞いて考える顔になった。
「それだと」
「何かあるの!?」
「英語になるけれどいい?」
「ええ、何でも」
「そうね、だったら」
 美奈子はここである曲を紹介した。
「サーフィンの曲ね」
「ええ、これならいけるわ」
 真剣な顔で言う。
「絶対にね」
「わかったわ、じゃあそれはここぞという時に」
「ええ、そして私は」
 美奈子も自分の曲を決めていた。
「鴨と女の子を重ねた曲をね」
「それ何処の歌?」
「中国よ」
「言葉大丈夫?」
「任せて」
 真摯な顔で応える。
「勉強するから」
「そうね、じゃああたしも」
 華奈子も腹をくくる。
「やるわよ」
「そちらはお願いね」
「美奈子もね。これで歌は決まったわね」
「そうね」
 二人は頷き合う。
「いざコンサートへ。魔法も合わせて」
「行くわよ」
「いざコンサートへ」
 これでカードは決まった。後はそのカードを磨き、何処で切るかだった。クラウンのカードはこの二枚、それが二人の手にあるのであった。


第十一話   完



                 2006・9・12



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