暁 〜小説投稿サイト〜
『チロの物語』
『ご飯』

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僕の寝床に
今迄と違うゴハンが
沢山置いてた。
缶詰めじゃなくて
カリカリするゴハン。

昨日、流那チャンと
沢山歩いた。
釣りたての魚が
貰える処。
余ったゴハンを
捨ててる店の裏。
猫に優しくて
必ず何か貰える
おばぁちゃんち。

僕が、流那チャン無しで
生き抜ける為に
流那チャンなりに
考えた答えだった。

生きることは
食べることだから。
食べなきゃ
生きてけないから。

おじぃちゃんは
毎日ゴハンを
くれるわけじゃない。
だから自分で
ゴハンを食べれなきゃ
死んでしまう。

そんなとき、
昨日一緒に行った処に
行けば必ずゴハンには
ありつけるから。

此の現実的な
優しさを受けて
僕は改めて
流那チャンを守りたい
って想った。
何も出来ないくせに
そう強く想った。

此のカリカリのゴハンは
缶詰めより
日持ちする。
缶詰めは自分じゃ
開けられない。

寝床を持ってる
此処の猫は
みんな流那チャンから
カリカリのゴハンを
貰ってたみたい。

僕のが1番大きい
理由は簡単。
子猫達が居るから。

決して
流那チャンからの
愛の大きさの違い
なんかじゃ無い...

流那チャンは
まだ家の中にいる。
出て来てない筈。
ドアが開けば
すぐわかるから。

だから流那チャンが
裏から廻って
来てたなんて
考えなかった。

お母さんが
来るまでは...

『なぁチロ...
流那知らんかぁ?
起きたら
居らへんねやぁ。
あ、これ(ゴハン)
流那からやな。
裏から出たんやな
チロ...流那は
母さん達から
逃げるのを
頑張ってるとこや。
チロも頑張って
長生きしぃやぁ』

流那チャン...
黙って何処に
行ったの?
抵抗するって
どうやって?

逢いたい...
せめて
またねって
挨拶したい...

いっぱいいっぱい
ありがとうって
伝えたい...



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