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トシサダ戦国浪漫奇譚
第一章 天下統一編
第二話 新生活
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こだ?」
「聚楽第の北側になります。去年、改易になった者の屋敷です」

 俺は治胤の話を聞き安堵した。本来、秀吉から貰う屋敷というのは屋敷地のみだ。それを拝領屋敷という。その土地に屋敷が建設済みなら、それをそのまま流用できるから金銭的負担が楽になる。それでも屋敷の代金は相手に支払う必要がある。でも改易された者の屋敷なら払う必要がない。

「縁起が悪いな。治胤、他に無いのか?」

 秀吉は強い口調で難色を示し治胤のことを厳しい目で見た。

「殿下、聚楽第の近い場所にめぼしい屋敷が他になく」

 治胤は秀吉の口振りに恐れながら尻すぼみで答えた。俺は小姓だから、聚楽第から離れた場所だと色々と支障がある。その条件を加味して屋敷を探すとどうしても限定されてくる。秀吉としては改易された者の屋敷を従甥に下賜することは心情的に気持ちいいものでないことは分かる。
 更地の拝領屋敷を俺渡せばいいが、それだと屋敷が建つまで俺の実家から通うしかない。秀吉の様子からして、その選択はないだろう。これは義祖父と話をつけていると見ていい。そう思うと小出家への想いが一気に冷めた。
 秀吉や小出家の思惑がどうであれ、俺は余計な出費が浮くから全然気にしてない。

「殿下、改易された者の屋敷ということは、考え方を考えればこれ以上落ちないということです。後は上がるだけ。良い屋敷をお選びいただきありがとうございます」
「卯之助が良いなら何も言うまい。そこを卯之助の屋敷とする。卯之助、しばしの仮住まいじゃ。お前が北条攻めで手柄を上げれば良い屋敷を選んでやろう。その時のために金はとっておけ」

 秀吉は俺にそう言うと席を立って退出した。

「小出殿、では屋敷へご案内いたします」

 この後、俺は大野治胤(おおのはるたね)の案内でその屋敷に徒歩で向かうことになった。
 だが、ここで問題が一つあった。

「大野殿、事前に殿下から聞かされていた屋敷で小出家の者達が引越をしていると思います」

 俺は事情を包み隠さず治胤に説明した。隠しても意味がない。
 急いで引越をしていなければ、こんなに慌てる必要もなかっただろう。義父は馬廻衆だから聚楽第の近場に屋敷がある。だから引越を急ぐ必要性はない。だが、俺の義母が俺を早く追い出したいのか引越は今日になった。

「そうでしたか。殿下からは急なことなので便宜を計らうようにと言付かっております。直ぐに早馬を出しましょう」
「お手数をおかけして申し訳ありません」

 治胤は俺を置いて小走りで姿を消した。

 

 俺が手持ち無沙汰に時間を潰していると、治胤が息を荒げて戻ってきた。

「手配が整いましたから、直ぐにお家の方々へ連絡が届くと思います。私達は先に屋敷の方へ向かいましょう」
「よろしくお願い
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