暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
sts 33 「心の中で」
[3/9]

しおりを登録しました
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
される。俺は体勢を整えながら左手に持っていた剣をファラに合体させた。10年前ほど筋力に差はないが、片腕で競り合うよりは両腕でやった方が良い。
 とはいえ、まだ1本ファラに合体させただけだ。残り4本合体させて初めて最大重量かつ最大強度になる。隙を見つつ残りの4本を合体させていなければ。

「……少年。いや、今はもう少年と呼べる年ではないかな」
「お前がそう呼びたいのであればそう呼べばいいさ。どうせお前やシグナム達から見れば、俺はまだまだ子供なんだから」
「ふふ、そうだな。ではそうさせてもらうよ……先ほどまで雰囲気が変わった。いや覚悟を決めたように思えるが、何かあったのかい?」
「別に何も……ただお前だけを相手してるわけにもいかない状況なんでな。腹を括ったってだけさ」

 口ではそう言ったもののただの強がりだ。本当はアインスと戦いたくなんてない。アインスに向かって剣を振りたくないと思っている。
 しかし、ここで覚悟を決められずに戦闘を長引かせればはやてがこちらへ来てしまうかもしれない。下手をすれば、あいつにもアインスと戦うことを強いてしまう。
 はやては強いようで強くない。魔導士として高い能力があろうと、19歳という若さで部隊長になれるほどの手腕があろうと、あいつだってどこにでも居る女の子なんだ。俺はそれも分かってる。なのはよりもフェイトよりも……ヴォルケンリッター達よりも長くそれを見てきた。
 それに俺は……あの日アインスと約束した。はやてやシグナム達を見守ると。そして、俺は彼女に誓ったはずだ。はやてや騎士達を守れるくらい強くなると。

「ふふ……ありがとう」
「これから自分を痛めつける相手に礼か?」
「私がここに居ることによって君はすでに痛めつけられているし、私は私の意思とは関係なく君を痛めつけてしまう。君から痛めつけられることに対して文句は言えない……いや、そもそも文句を言う気にさえならないさ。君は私を救おうと……解放してくれようとしてくれているのだから」
「アインス……」
「君と触れ合った時間は短いとはいえ、君がどういう人間は知っているよ。それに今の君はあの日主や騎士達を救おうと……私さえも助けると言ってくれた時と同じ目をしている。きっと主達のために私を打ち倒すことを決めてくれたのだろう?」

 優しい笑みを浮かべて問いかけてくるアインスに、俺は腰にある左右対称である長剣型のブレイドビッドを一振り抜き放つことで答えた。アインスの中にある悲しみを断ち切るために、俺の中の覚悟を確固たるものに変えるために。

「ふふ……君に対して拳を振るうことに先ほどまでは抵抗しかなかったが、今は少しばかり楽しもうとしている自分が居るよ。昔も……今も……主達のために戦ってくれている少年がどれほど成長したのか、この私に見せてくれ!」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ